東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

「今を生きるものとして、過去の 戦争をどう捉えなおすのか」
~「戦争を記憶する」第2弾を発行して~
健友会理事長 伊藤浩一医師にインタビュー

 「戦争を記憶する」は、2017年4月に第一弾、2023年6月に第2弾を発行しました。健友会の地域包括ケア推進委員会での議論のなかで、「戦争を風化させないこと」が話題になり、それを目的に発行に至りました。
 巻頭では「一人ひとりの戦争の物語を記録すること」と題して寄稿しました。私たちは日常診療で、患者や利用者の人生の「物語」をうかがえる余裕がなかなかありません。しかし、その「物語」を知ることは医療や介護に携わる者にとって大切です。「家族と離れ離れになった」「家が丸焼けになった」など戦争は体験者にとって、その後の人生を大きく変えた出来事だったはずです。その歴史、患者や利用者の「物語」を知ることで、信頼関係は深まっていくのではないでしょうか。
 戦争を知らない私たちの世代にとって容易に想像できないので、多くの方に読んでもらいたいと思います。
 一人ひとりの戦争の物語として、戦争で被害を受けたことはもちろんですが、戦争で加害者としての「物語」もあります。NHKなどのアーカイブなどで戦争の証言集のような番組もありますが、加害の証言は出てきません。しかし、「加害の物語」をきちんと受け継いでいくことも必要です。
 「black lives matter」の運動が高揚する中でオランダの国王が、過去のオランダが行った奴隷制度について謝罪したという報道がありました。戦争に直接加担していない私たちの世代が過去の戦争の加害についてどのように受け止めていくのかということは、世界の動きの中で大きなテーマになっていくでしょう。
 かつて西荻診療所所長をされていた湯浅謙先生は、軍医として捕虜の中国人を生体解剖した経験について加害者の責任を負い、贖罪を果たそうと旺盛に講演を行っておられました。中野共立病院に入院された際には、職員向けに講演もしていただきました。戦争は人を「人でなくしてしまうもの」と痛感させられました。
 「今を生きるものとして、過去の戦争をどう捉えなおすのか」日常生活の中では、それを考えようとする機会は少ないと思います。意識的に情報にアクセスしようとしなければいけません。実は様ざまなコンテンツがあるはずです。ただ、体験した人に直接聞くことができれば、まるで過去が再現されたようにリアリティを持って語ってくれます。戦争体験者も高齢化しています。今が直接お話を聞くことができるラストチャンスかもしれません。