東京民医連

ニュース

みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

「民医連の組織文化で職員が育ちあう」
岩須靖弘 全日本民医連事務局次長の講演(要旨)

人権を尊重する職員育成が必要
 職員育成指針2021年度版の核心を一言でいうと「民医連の組織文化で職員が育ちあう」ということになります。組織文化とは、多様性の中で「民医連ならこうするだろう」という共通項です。民医連綱領の根底にある「人権を尊重し、共同のいとなみとしての医療と介護・福祉」が組織文化の基本となっています。
 「共同のいとなみ」とは、「患者・利用者・住民」と「医療・介護の専門職」がパターナリズムでもなく、契約論でもなく、ともに健康の実現をめざし(医療・介護)、ともに社会保障・政治を良くする(運動)と定義されています。医療・介護現場でも社会全体でも人権をめぐる問題が山積している時代に、このような組織文化で人権を尊重する職員育成が必要となっています。職員育成は民医連運動の基盤となる活動です。

 

職員が成長する組織文化の力を発揮
 これまでにも民医連の組織文化の力を発揮しています。
 2000年の耳原総合病院がセラチア菌院内感染を自主的に公表。保健所や国立感染症センターの協力を得て検証し再発防止に努めた事例では、痛恨の経験から患者の人権を第一にした医療安全の取り組みが進化し、外部の医療関係者からも評価・共感を得ました。
 2つ目に、コロナ禍での医療・介護活動と運動の経験です。大きな不安やストレスの中で職員を守り、地域住民の受療権を守り生活を支える運動として、職員の中には「断らない」「どうしたら受け入れられるか」という思いが常にありました。「綱領という組織の理念が息づいていると感じた」「人の痛みを知るからこそ、人間として、専門職として一まわり豊かになった気がする」など『心的外傷後成長』が生まれています。
 このように職員が成長する組織文化を発揮してきた民医連ですが、誤りを犯すこともあります。旧優生保護法下における強制不妊手術問題では、半世紀近くも続いた人権侵害に気づかず、社会問題として取り組めませんでした。パターナリズムに陥り人権意識・倫理観の不十分さ、当事者との結びつきの弱さ、倫理的問題を認識する点での組織的未熟さが原因だったとふり返っています。共同のいとなみで個人の尊厳を守ることを最大の価値として学び続け、変革の視点で人権と倫理問題に臨むことが求められます。

 

職場でのコーチングスキルが重要
 職員育成指針2021年版は職員にどんな成長を期待しているか。綱領の基盤にある「人権尊重」「共同のいとなみ」に高い倫理観と人権をめぐる医療・介護、社会の問題を解決するための変革の視点を持つこと。その前提として、仲間と結びつき協働する力を持つことです。一人ひとりはみな発展途上で成長の契機や過程は多様。その職員同士で成長できる組織文化を発展させることが育成活動の目標になります。このような職員育成をすすめることが組織文化を醸成・発展させることにもなります。
 職員を育成する場は職場です。職場とは「職員の居場所」。大切にされ、一切のハラスメントのない、心理的安全性が保たれるべき場所です。一人ひとりの職員が役割をもって活動し、自己肯定感が得られる場でなければいけません。そのためにも、自分たちの仕事への確信、良好なコミュニケーション、その前提としての対話の保障、教育的雰囲気などがポイントです。職場会議の充実や育成面接のコーチングスキルが重要です。
 広がる自己責任論と対決するには、ともに学び合い、支え合いつながりを回復して、他者が自分を支えてくれる実感の中で自己のエンパワメントの発揮が可能であることを発見することが不可欠です。

 

役職者は仲間の成長を自らの喜びに
 最後に、役職者への問題提起です。
 方針を実践するのは職員。職場を職員育成の拠点に。職場づくりの中心は職責、主任が補佐し、トップ管理は援助を。若手の感性・発想を大事に。ベテランは一肌ぬごう。試行錯誤と他職場の経験を学ぶ。職員育成は自らの後継者育成。自分をのりこえていくような育成を。職員育成は終わりのない未完のプロジェクト。仲間の成長を自らの喜びに。