東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

話をしながら公園まで歩行訓練

 患者と車いすで近くの公園まで行き、砂地の公園で患者が鉄棒に掴まって立ち上がり車いすを押して歩いています。看護師は患者のズボンの後ろを軽く持って介助し、屋外歩行訓練をしています。この辺は武蔵野市の中でも緑が多く、千川上水には鯉がたくさん泳いで、鴨や白鷺も来ます。春には桜がほころび、自然が多く気分も癒されます。
 このAさんは80代、独居、要介護3です。屋内はつたい歩きで何とかトイレ移動もしています。でも転倒が多く、家の中は手摺りがたくさんあります。週末は息子が介護に当たり、週中は娘が介護にあたっています。
 Aさんは、「他人の世話になってばかりで早く人生を終わりにしたい、お迎えが来てほしい」といつも仰っています。元気な頃には、癌でご主人が亡くなったあとも、コーラスや人形づくりなどの趣味活動や姉妹で海外旅行に出かけるなど、前向きに生きてきました。
 「もうやりたいことはみんなやり終えた、寝たきりや認知症になったら施設に入るしかないけど、命ある限り寝たきりにならないよう頑張って歩きたい」と希望しています。食も細く、最近はめっきり痩せて体力が落ちたことを気にしています。
 もちろん訪問リハビリはケアプランに入っていますが、「リハビリでは機能訓練が専門だから貴方には外を歩かせて欲しいの」と希望があり、担当としては事故がないように気をつけながら屋外歩行訓練をしています。公園までの行き来にはいろいろな話をします。昔のことや家族のことなどお互いに共通話題もあり、何でも話せる間柄です。
 担当看護師としてはセラピストが実施するほどの訓練になってはいませんが、患者にとって今日も歩けたと自信になり、モチベーションアップに繋がっていると思います。それが生きる糧の一部となっていれば良いと思います。
(訪問看護ステーション共立・2017年2月号掲載)