東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

家族の希望に沿える訪問診療を


 私たちの部署では城南地区を中心に、250名の患者さんの訪問診療をしています。加齢により通院困難となった方から呼吸器疾患、神経難病や癌終末期の方まで疾患は様々です。訪問診療の看護師の役割は往診に同行するだけではありません。患者さんやご家族が安心して生活できるよう想いを聴き、医師だけでなく、病院のケアマネジャーや訪看などの在宅サービスに関わる他部署と連携をとることが不可欠だと考えています。
 80代で癌末期の患者さんがいました。胃瘻で経管栄養を投与していましたが、ADLは自立でご自身で管理されていました。しかし癌の進行に伴いADLは低下。全介助レベルとなりました。病院は介護経験のないご家族での在宅看取りは難しいと考え、病院での看取りを提案。しかしご本人は退院を希望されました。ご家族もコロナ禍で面会が出来ないこともあり退院を希望したため、数日自宅で過ごした後、再入院の方向で訪問診療の依頼を受けました。
 訪問診療が始まる前に娘さんと面談を行い、その場で、難しいかもしれないが在宅での看取りを希望されていることを知りました。在宅看取りを希望されても実際に介護をすると疲れや不安などから再入院を希望されるご家族は少なくないので、いつでも再入院可能であることを病院側と確認し、退院となりました。
 退院後はしばらく落ち着いていましたが、病状の進行に伴い呼吸困難や浮腫、癌性疼痛や夜間の不穏など様々な症状が出現。その度に訪看や主治医と連携しながら臨時往診での対応やご家族へ様子確認の連絡をし、必要な時は訪問診療の看護師も訪問して対応しました。入院の話もありましたが、ご家族は改めて在宅看取りを希望。患者さんはご家族に見守られる中、最期まで自宅で過ごすことができました。
 これからも患者さんやご家族の希望に沿えるよう、連携を取りながら訪問診療に携わっていきたいと思います。
(大田病院・2023年7月号掲載)