東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

多職種連携で暮らし支える


 看護小規模多機能型居宅介護いちごいちえは訪問介護・訪問看護・通い・泊りの一体型サービスです。医療依存度の高い利用者様が住み慣れた地域で暮らすためのお手伝いをしています。
 Aさん(女性)は入院中食事を拒否しており、もって一か月、と説明を受け、お看取り覚悟で退院しました。コロナ禍で病院では介護指導できないため、いちごいちえに退院し、数日お泊りし、夫へ介護指導を行ったのち、ご自宅に帰りました。
 ご自宅でのサービスは訪問介護でオムツ交換、訪問看護で体調確認・排便コントロールと夫への介護指導をします。夫は妻を思う気持ちがとても強く布団をかけ過ぎ、訪問時に肌着まで汗で濡れていることが度々です。
 着替えをしながら「今日はお布団1枚で良さそうですよ」と温度計を見せ、エアコン調整をします。また、毎週のお泊りは介護者の夫の休息時間にあてています。
 褥瘡のハイリスク状態のため訪問介護にはポジショニングが必須です。職場学習をし、写真に撮りベッドサイドに貼って夫と共有しています。自宅では水分摂取が十分できず、脱水傾向となることもあり、こまめに介助し体調を整えます。夫にとって訪問サービスの職員と話すことが社会との接点にもなっています。訪問診療も含め多職種でAさん夫妻の暮らしを支えています。
 Aさんは初めて会った時はとても硬い表情でしたが、自宅では、訪問すると「おはよう」とニッコリ。食事量も増え、お顔はふっくらしました。なんということもない当たり前の日々の繰り返しです。でも「自分の場所で暮す」ことは自分らしくいるためにとても大切で幸福なことだと思うのです。
 卒1の研修時、脳梗塞で入院していた患者宅を訪問しました。ビールをストローで飲んでいると聞き、「在宅って!!!」と衝撃をうけた26年前の私へ、私はいまその現場にいます。これからも利用者さんが今の場所で自分らしく輝けるよう、利用者さんご本人、そして様々な職種の方々と手をつないでいきたいです。
(いちごいちえ・2023年8月号掲載)