東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

訪問看護に看護の原点・本質あり


 「私は、訪問看護師です」「大変ですね」と言われます。確かに大変です。
 “看護とは、あらゆる場であらゆる年代の個人および家族、集団、コミュニティーを対象に、対象がどのような健康状態にあっても、独自または他と協働して行われるケアの総体である。看護には、健康増進および疾病予防、病気や障害を有する人々あるいは死に臨む人々のケアが含まれる”と、定義されています。
 訪問看護は、まさに看護のすべてを同時に連続的に行う必要があり、国家試験よりも難しいです。看護の三要素、Heart(態度)・Hand(技術)・Head(知識)が水準以上だからと言って、正解にならないこともあります。何が必要か?公私問わず、たくさんの経験だと思います。症例は1つとして同じものはなく、引き出しがたくさん必要です。年間800件訪問して、1年目だと800件、10年目だと8000件。物理の法則が覆らない限り、経験値は覆らない。訪問看護においては、経験には三要素を上回る大切さがあります。
 新人の頃は、医療処置や身体的ケアがない利用者から、もう来なくて良いと言われることもありました。いつの間にかそういうことがなくなったのは、私が経験により引き出しが増え、あらゆる利用者が必要としている看護を見出して提供することができるようになったからではないかと思います。
 最近、「天職ですね」と言われました。ちょっと違うけれど、嬉しくなりました。“天職とは、天から授かったつとめ、神聖な職務、自分の生まれつきの性格に合った職業”とありますが、私は仕事を続けるうちに「天職ですね」と言われる自分になったと思います。仕事が私を創ってくれました。訪問看護師になって、看護のやりがいを知り、仕事が好きになりました。看護師をめざした人ならば、なるべく早く訪問看護に飛び込んで、経験を積むことをお勧めします。時間はかかっても、看護の原点と本質に出会えると思います。
(かみよん訪問看護ステーション・2023年11月号掲載)