東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

もどかしくても根気強く関わる


 診療所で働いていると、気になる患者さん、いわゆる「困難事例」といわれる人たちと度々出会います。
 Aさんは定期的(不定期?)に受診にやってくる、見るからに気になる風貌をしている方です。診察時の対話からも統合失調症があるのではないかと考えられます。両隣の部屋から攻撃を受けるなどの発言から、おそらく近所づきあいなどもないと思われます。そんなAさんの皮膚の状態が悪化してきたと思ったら、なんでも数か月前からガスと電気が止められているとのこと。この猛暑をどうやって乗り切ったのか、早速、地域包括支援センター(以下包括)に相談し、自宅を訪問してもらうことにしました。
 Aさんは電話を持っていません。以前より包括には連絡しており、何度か訪問してもらっていましたが本人が拒否をして会えていなかったのです。今回は、Aさんにも訪問が来たら必ず出るようにお願いして、Aさんも「困っているから、何とかしてもらう」と言っていたのに…。数日後、包括より、やはり玄関を開けてもらえず会えなかったとのこと。
 翌月受診に現れたAさんを見つけ、すぐに包括に連絡。包括もフットワークがとてもいい!今から行きます!と駆け付けてくれました。そのままAさんと一緒に自宅へ。電気は復旧したが、ガスは必要ないとAさんの意志で復旧せず。お湯も出ないのだからお風呂にはいれるはずもなく、Aさんの皮膚はどんどん悪化。いったん入院してしっかり治療しましょうと入院予約をするが、入院日にAさんは現れずキャンセル。
 じゃあどうする?当院には通所リハビリ設備でお風呂がある。土曜日の午後なら外来も通所リハも終了している。看護師で入浴させてしまおうか!約束するが、またしても現れず。電話もない。行っても会えない。ふらっと現れる受診のタイミングで、なんとももどかしいですが根気強く関わっていきます。Aさんは診療所・包括とのつながりができました。
 大きく変化するわけではないし、すぐに結果も出ないけれど、せっかくできたつながりが切れないように、周りの多職種を巻き込んで見守っていくことも大事な役割だと感じています。
(鹿浜診療所・2024年1月号掲載)