05年2月25日、ラパスホールで東京民医連・薬剤師中堅研修が開催されました。
今回の研修会では、「医薬品の情報収集と評価――審査概要を身近なものに」をテーマに、薬害オンブズパースンメンバーで京都大学医学部大学院在学中(薬剤師・看護師)の八重ゆかり氏が講演。医薬品の有効性と安全性の評価を検証することを通し、メーカーから与えられる情報だけでは客観的評価が充分でないこと、医薬品の本質を見抜く上で必要な情報をどのように入手するのか、データをどう分析すればよいかなどについて詳しく紹介しました。
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| 講演後のグループワークでは、各自が調べてきた医薬品情報を基に安全性を検討 |
初めに八重氏は、日本の医薬品承認制度が世界の中でも類を見ない程ゆるいと報告。そうした状況の中、現場薬剤師が薬害被害から患者さんを守る上で、医薬品、特に新薬の情報を客観的に見ることが大切と語りました。
そのための情報源として八重氏は「承認審査報告書」を見ることを第一にあげ、(1)医薬品機構が新薬をどのように審査したのか「申請資料概要」をたどること、(2)有効性について疑問に思われる点に関しては健常者を対象とした第V相臨床試験を参考にすること、(3)安全性については動物実験による第Tおよび第U相臨床試験を参考するとともに更に内容を吟味することをあげ、これらの検討なしには「本当の安全性や有効性についてはわからない」と指摘。
実例として、うつ病とパニック障害の適応を持っているパキシル(塩酸パロキセチン)をとりあげ、欧米では80年代から使用されているが、近年米国では依存症や自殺を引き起こすことが問題となっていることを紹介。そこで日本での試験における有効性や安全性についてのデータを具体的に検証しました。
結論として、有効性については試験自体の脱落例が多く(通常は8割位完了例がなければならない)治験の質が低いこと、また塩酸アミノトリプチンとの比較では、うつ病評価尺度の減少度に有意差はないが、効果がアミノトリプチンより小さく、同等もしくはそれ以上の効果があること(非劣性)が検証できていない状態であることを明らかにしました。あわせて裁判が進行しているイレッサについても言及しました。
参加者からは「承認されるまでの過程も知らずに調剤していたと思い知らされた」「薬事委員会の資料を作るときやメーカーのパンフを批判的に見るときなどに役立つ内容」「自信を持って患者さんに進められる薬なのか、自分でも評価しなければ」「医師の処方どおりにそのまま調剤するような薬剤師ではいけないと思った」などの反響を呼んでいました。
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