機関誌「みんいれんTOKYO」2025年6月号

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機関誌「みんいれんTOKYO」2025年6月号

一人ひとりの声が政治を変える大きな力 都議選間近! 座談会

6月13告示・22日投票で都議会議員選挙が行われます。若手職員3名が、民医連出身の2名の都議と政治への思いを語り合いました。

都議選の受け止め、政治に求めること

田口 選挙に毎回行くようにしていますが、なかなか情報が伝わってこないと感じています。食費、電気代、水光熱費、あらゆるものが値上がりしていてすごく苦しい。物価高騰に対する保障が求められていると思います。医療従事者はコロナ禍から本当にきつい環境でみんな頑張っているので、少しでも賃金が上がるとか、保障の充実があるとうれしいです。

島村 SNSがいい意味でも悪い意味でも広がっていますよね。新人の職員に「好きなタイプの芸能人は?」と聞くと「“芸能人”がわかりません」「好きなYouTuberとかインフルエンサーならいます」という答えが返ってきます。若者にとって今のメディアの中心が変わっていることが改めてわかりました。ニュースも、我々の世代は朝のテレビニュースが当たり前になっているのですが、今はネットニュースがメイン。選挙には私も毎回行っていますが、友人で行ってない人もいて、理由を聞くと「投票する人がいない」、かといって白票を入れることもしていない、投票に行くのが面倒くさいと。ネットで投票ができるようになると若者の投票率は上がるのではないかと思います。

藤田 本当は困っていて言いたいことがたくさんあるけど、言わないで過ごしている人が多いのではないでしょうか。

福手 自分が思っていることを誰かが取り上げてくれた、と実感することが、政治とのつながりにおいても重要です。都議として大事にしているのは、一番は現場の声、多くの都民の皆さんが生活する中から実感として出てくる声を聞くことです。実は大きな問題だけれども、今は政治の課題になっていないことがたくさんあると思います。

藤田 怒りは行動力の源泉ですが、共通の情報がないと怒りもわきづらいと思います。SNSはその人の興味ある情報だけが入ってくるので、みんなで共通の話題にならない。同じ問題意識で連帯して改善を求める運動がやりづらい時代ではないかと感じます。私たちの訴えの広げ方にも戦略が必要だと思います。

島村 給料が低いので、一人暮らししたいけど実家を出られなくて長時間かけて通勤している若い職員がいます。

星川 息子が高3で大学受験頑張っていますが、地方の大学に合格して一人暮らしになると「仕送りできるだろうか」と不安になります。職場では利用者の方の年金が少ない、3食から2食にする、そういう話も聞こえてきます。介護報酬の処遇改善と最低賃金の引上げで、ヘルパーの賃金は少しずつ上げているのですが、事業収益はかなり減ってしまっているので小規模事業所ほど大変です。

田口 東京都では、出産・子育て応援事業でギフト券がもらえるサービスがあります。助産師として嬉しく思いますが、不妊治療への補助や、2人目を安心して産めるための保障も手厚くしてほしいと思います。子育てに関してご主人が育休を取れなくて困っているという人もいます。以前よりは確実に男性の育休取得率も上がっているとは思いますが、男性も育児休暇を取りやすい社会になるように、目を向けて欲しいです。

島村 重い介護ベッドを運んだりするので腰痛の訴えがあります。利用者さんやケアマネジャーさんとの対人関係で悩んでいる人もいます。常に複数で対応できればよいのですが、職員数もギリギリでやっているのでフォローが出来ない。
 コロナ禍の世代の職員は、面と向かって人と話す機会が少なく、マスク越しなので表情がわからないという話を聞きます。大学生、高校生の一番活発な時期に全てを制限されてしまって、自分からコミュニケーションを取るのが上手ではないイメージがあります。

星川 サービス提供責任者の仕事の重圧で辞めていく人が多いです。利用者さんから毎日電話がかかってきて、気持ちが潰されそうになる。そこに苦情などがあると辞めてしまいたくなります。訪問介護は天候によっても左右されます。高齢のヘルパーさんがカッパを着て、雪の日も自転車で訪問に行かなければならない。チームワークがないとできません。


輝け看護!

「家で過ごしたい気持ち」に寄り添って

 3姉妹の長女で、妹たちの支援を受けながら一人暮らしをしていた92歳のAさんをご紹介します。
 2019年から慢性心不全増悪で入退院を繰り返していました。2024年11月には腎機能も次第に悪化し、全身浮腫著明のため、独居生活が困難になりました。
 2024年12月下旬からの入院加療を経て、妹たちも健康不安を抱え、かつ遠方で姉のフォローが難しくなったため、家族で話し合いが持たれました。Aさんは「どうしても入所したくない」と渋っていましたが、退院後は介護老人保健施設に入所することになりました。
 入所してからも心不全による入退院を繰り返し、ほとんどの時間を病院で過ごされた、と言っても過言ではありません。
 入院中も採血や点滴などを拒否され、内服治療のみを行っていたとのこと。Aさんの「どうしても家に帰りたい」という強い気持ちは変わらず、4月中旬に自宅退院されました。
 退院後の初回訪問では「家に帰るのは、これが最後のチャンスだと思ったの。もう二度と帰れないと思って。どうしても帰りたかった」の言葉に、Aさんの並々ならぬ覚悟を感じました。
 入所前とは違い、妹たちにはほとんど頼ることができないため、訪問看護や訪問リハビリ以外に、ヘルパーや配食も利用しています。
 以前との生活の違いに不満や戸惑いを表出されることもありましたが、徐々に慣れてきた様子です。今では「帰ってこられて本当に良かった」と穏やかに過ごされています。
 一日でも長く在宅生活を継続できるように、支援をしていきたいと思います。
(訪問看護ステーション共立・2025年6月号掲載)

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