機関誌「みんいれんTOKYO」2026年9月号
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機関誌「みんいれんTOKYO」2026年9月号
つながる、広がる、地域が変わる!
予演会で実感した共同組織の「力」
全日本民医連共同組織活動交流集会へ向け 6演題を報告・交流
8月20日、東京民医連共同組織委員会は、「第17回全日本民医連共同組織活動交流集会」(9月27、28日、会場:東京ビッグサイト)に先立ち、東京民医連傘下の事業所・共同組織からの発表演題の内容を深めるための予演会を開催しました。本番の交流集会では、東京民医連から60に迫る演題発表が予定されています。この日はそのうち6つの演題報告が行われました。
① 食事会を基盤にした助成制度化への道
NPO法人たんぽぽ会・中村和司氏は、足立区で10年続く高齢者食事会「生き生き月曜サロン」の取り組みを報告。温かい手作り食事を300円で提供し、毎回60〜70人が参加しています。「一週間に1回だけど、みんなで食べるのが一番美味しい」と好評を得る一方、財政面での課題を克服するため、何年も足立区と粘り強く交渉。今年度から「長寿ふれあい食事推進事業」が創設され、同サロンへの年間96万円の助成を実現させた歩みが共有されました。
② 誰もが立ち寄れる「街の居場所」15年の歩み
東京ほくと医療生協赤羽東支部・浜野妙氏は、開設15周年を迎えた「赤羽東虹のセンター ホットカフェ」の実践を発表。商店街の空き店舗を活用し、火~土曜の午前に手作りパンや飲み物を100円で提供しています。12人の運営委員が「一生ボランティアをやろう」と励まし合い運営。
3ヶ月と余命宣告をされた方が、最後まで当番に入り、ボランティアを生きがいに2年6ヶ月生き抜いたというエピソードや、店舗移転時に無償で物件を提供し組合にも加入してくれた大家さんとの心温まる絆が紹介されました。
③ 地域の多彩な団体・住民との多角的連携
代々木健康友の会・伊香忠志氏は、積み重ねてきた健康づくり活動が、地域の多彩な連携へ結実している事例を報告。年3回の健康講座には新聞折込1万枚などで呼びかけ毎回100人が参加。毎週の「ころばん体操」は当初の9人から登録者90人へ拡大しています。
「健康まつり」では6町会の後援、国立能楽堂の協力による能楽師の演舞、大学ゼミ生の出店、町会による防災食配布などを実現。「商店街の集まりなどで名刺交換を重ね、根気強く声をかけ続けたことが成果に繋がった」と秘訣を語りました。
④ 食堂実践が築いた「信頼」と介護人材の発掘
城南保健生協・伊藤豪氏は、2016年から展開する「大森東食堂」の実践と、そこから生まれた人とのつながりが介護職員の採用へ結びついた事例を報告。子ども食堂からフードパントリーへ移行し毎月150人が利用する中、「子ども食堂を行う信頼できる事業者」として利用者本人がグループホームへ入職。
さらにそのママ友もヘルパーとして着任する循環が生まれたことが紹介されました。介護分野は全国的に採用難に直面していますが、共同組織の活動が事業の活性化にもつながったことに確信を深めたと語りました。
⑤ 診療所跡地を活用した新たな「まちづくり拠点」
健康文化会・細見学氏は、今年3月末に閉院した旧坂下診療所跡地を「まちづくり拠点」として活用する挑戦を発表。自ら全日本民医連のまちづくり推進リーダー養成研修会を受講し、その報告をたこ焼きを食べながら職員・共同組織メンバーで学び合い、アイデアを出し合いました。給水所やフリーWi-Fiの設置、認知症カフェ、卓球台や麻雀卓の活用など、「誰もが気軽に集える居場所」に向けた構想が進んでいます。
⑥ 20年で会員5万人を目指す「2倍加運動」の決意
健生会・松崎正人氏は、昨年度開始した友の会会員を20年で5万人に増やす取り組みを報告。「孤立社会における本当の人のつながりのプラットフォーム」「家族みんなで健康づくり」「会員増やしを通じて、患者を増やし、経営改善に貢献」など倍加の必要性を繰り返し議論し、家族会員の位置づけや入会金制(月100円の会費から500円の入会金のみに)への移行、窓口案内を徹底。年間3678人の新入会を獲得した実績を示し「共同組織あってこその民医連」と運動を強力に推進する決意を表明しました。
予演会をスタートダッシュに
佐藤直史・東京民医連共同組織委員会委員長は、「関心や感動を呼ぶ報告ばかりで、継続の大きな力を実感した。今日の予演会をスタートダッシュとして、9月27・28日の本番、そして秋の共同組織活動拡大強化月間へ向けてともにがんばりましょう」と呼びかけました。
共同組織活動交流集会とは?
共同組織と民医連事業所の職員が集い、実践や運動の経験を共有・交流する最大規模の全国集会。全体会や記念講演、テーマ別分科会を通じて、地域の工夫や課題を交流して地元の活動へ活かす貴重な機会となっています。
「2026年度共同組織拡大強化月間」方針案を提起
10月1日からの「2026年度共同組織拡大強化月間」スタートにあたり、山根浩東京民医連事務局次長から方針案が提起されました。
物価高や孤立化が進む中、「命と暮らしを守るネットワークを地域に張り巡らせる」重要性を強調。窓口での積極的な声かけ、健康・居場所づくりと連動した案内、若年・働く世代へのアプローチなど、全職員と会員が一体となった展開を呼びかけ、「年度末時点で全法人・組織が前年度を上回る歴史的前進を勝ち取りましょう」と提起しました。
輝け看護!
訪問看護を導入してよかった事例
新小岩診療所は江戸川区と葛飾区の境にあり、地域の外来・訪問診療を担っています。
A氏は長年当院で区民健診を受けていました。定期受診は他クリニックでしたが、熱中症の入院をきっかけに訪問診療を開始しました。妻と障害のある娘との三人暮らしです。自宅では一日中飲酒している状態で、食べたいときに食べ、寝たいときに寝ている生活でした。妻は規則正しい生活を送ってほしいと望んでいましたが、A氏は聞き入れず、時には怒って手を上げることもありました。デイサービスの提案も受け入れてもらえない状況でした。
ある日、訪問診療に伺うと、いつも座って迎えてくれていたA氏が衰弱した状態で布団に寝ていました。妻に確認すると、数日前から食事や水分摂取量が減ったと話されました。明らかな脱水を認め救急搬送としました。妻には夜間・休日でも何かあれば電話するように伝えてありましたが、「もうすぐ往診の日だから」と待っていたようです。食事や水分をほぼ摂れなくなったA氏を一人で看て、さぞ不安だったでしょう。A氏は熱中症と診断され、数日後に無事退院しました。
退院後は訪問看護の導入を提案しました。妻は「来てもらっても拒否したら迷惑がかかるから」と消極的でしたが、「駄目なら断ればいいので試してみましょう」と半分強制的に導入を了承してもらいました。
訪問看護が入ってからは妻の表情が柔らかくなり、訪問看護師とのやり取りなども話すようになりました。訪問診療だけでは支えられないケアを訪問看護にお願いすることで、妻の不安解消に繋がったと感じました。今後も訪問診療での関わりの中で患者さんだけでなく家族も含め安心して生活していけるような支援を行っていきたいと考えています。
(新小岩診療所 村上 京子)