成人教育の目的と教育者の役割

「教育者はたしかに、学習者のもともとの関心および自覚しているニーズに応えなければならないことを承知している。しかしそれは、学習者に以下の点を気づかせることを意図しておこなうのである。一つは、自分のニーズの<根拠>であり、もう一つは、ニーズを自覚したり満たそうとする際の習慣的な認識、思考、感情、行動のあり方が、自分がもっている意味パースペクティブ(経験を解釈するために個人が用いる前提)によってどのように狭められてきたのかということである。」(メジロー)

成人教育という概念に含まれる構成要素を検討することによって、定義をしてみると以下のようになる。まず成人、おとなとは、みずからの文化やサブカルチャーの中での成人期の社会的役割を引き受けるようになったものと定義することができる。もっと簡単に言えば、社会的な意味で自立しているとか「成長した」状態の場合には、私たちはその人をおとなと呼ぶことに違和感を感じない。つぎにかなり伝統的な方法で学習を定義すると、学習とは、経験によってもたらされる思考、価値観、態度の持続的な変化である。したがって成人教育とは、<思考、価値観、態度の変化につながるおとなの一連の活動もしくは経験>ということになる。