Narrative based Medicine 「ナラティブ・ベイスト・メディスン」金剛出版 河合隼雄氏による前書きより 人間はそれぞれ、自分の「物語」を生きている、と言うことができる。「病気」もその物語の一部としての意味をもっているのだが、一般の医者はそれを無視してしまって、「疾患名」を与えることで満足する。しかし時にそれは、その人の物語の破壊につながってしまう。それでも、その疾患が医学的に治療可能な場合、まだ救いがあるが、治療が不可能な場合や、高齢者のケアのようなときは、それらの事実を踏まえて、患者がどのような「物語」を生きようとするのか、それを助けることが医療のなかの重要な仕事になる。 ここで大切なのは、そのような「物語」を医者や医療スタッフが見つけ出すのではなく、患者が自ら生み出してくるのを受けいれる態度が必要なことである。 このような医学が、narrative based medicineである。 |