東京民医連

東京民医連のご紹介

みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

視角

 東日本大震災の支援に向かう途中、仙台東部道路から、水浸しの空き地が延々と広がる光景を見て息をのんだ▼坂総合病院の新入職看護師が実家の被災について「家から小学校や松林、海が見えたことはありません。しかし今は違います。どこを見ても瓦礫だらけの同じ風景です。家は基礎しか残っていません」と綴っていた。別の方からも「見えるはずのない海が見える」という話を伺って、家屋、樹木あるいは地形など記憶にあるもの全てを奪われた喪失感の大きさをあらためて感じた▼多賀城市の避難所では、「下水が町に溢れだしているので、みんなで飲水を控えて、水を流さないようにしている」という話を聞き、エコノミークラス症候群の予防のためにも飲水制限をしないように伝えながら、これは東北のもつコミュニティの強さなのかと戸惑い、サバイバーズ・ギルトのようなことでなければよいがと願うほかなかった▼災害支援の一つひとつの局面では限界も当然あり、個々人ではどうにもならない場面もある。しかし、現地での直接の支援に留まらない活動全体を通じてみた時、診療の継続、避難所支援、地域訪問活動、物資支援など大きな役割をはたしてきたと実感する。今後も刻々と変わる局面に対応して、医療者としての役割を発揮しなければならない。(目)