東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

安心電話 孤独死防ぐ地域力
地元町会に新松戸診療所が協力し実現、発展

「安心電話」の始まり

 新松戸診療所の地元、幸谷町会の故樋口剛さんは、今後、町会中心の孤独死予防の取り組みが大切になると考えました。そこで松戸市の開業医、堂垂伸治氏が工学院大学などと協力して開発したソフト「安心電話システム」を使う了解を得て、国のモデル事業として、必要な予算も獲得しました。
 協力する医療機関を探しては断られ、困っていた樋口さんは、伊藤久美子幸谷町会長(当時)とともに新松戸診療所を訪ねてこられました。町会の熱意に共感した私は、すぐにボランティアで協力することを約束し、準備が始まりました。1年後の2012年3月、幸谷・新松戸東両町会の「安心電話」が発足しました。診療所で開かれた祝賀会には、社会的関心の高さを反映して、松戸市長、福祉部幹部と各派地元議員等も出席、新聞やテレビでも大きく報道されました。

 

「安心電話」システム

 本人希望で登録した、65歳以上のお年寄り(現在71人)に、週1回、指定した時刻に、診療所のコンピュータが自動的に電話をかけて健康状態を聞きます。返事は、プッシュフォンで、*(1)(問題なし)、*(2)(相談したいことあり)、*(3)(具合悪く、すぐ連絡ほしい)のどれかを押します。コンピュータ画面には、(1)は緑、(2)は黄色、(3)は赤、と一覧表示され、(2)や(3)の人には、看護師や医師が相談に乗り助言を行います。返事がない人には、自動的に再発信し、二日続けて返事がない人は灰色で表示されます。その場合は、診療所↓町会役員↓見回り相談員へと連絡し、安否確認に自宅を訪ねてもらいます。こうして、お年寄りは、医師や町会の仲間に見守られている、という安心を得られ、孤独死予防にもつながります。

 

4年間の成果と展望

 この4年間に、松戸市内の「安心電話」地域も登録者数も拡大、全市的な連絡協議会がつくられました。市医師会も後援、松戸市も昨年度80万円の助成金をつけ、「安心電話」は順調に発展しています。
 2010年のNHKスペシャル『無縁社会』などで、1年に無縁死3万人、自殺者3万人を超える「孤独死・孤立死」が社会問題になりました。私たちは、孤独死を防ぎ、助けあい、人間らしくくらせるまちをつくるために、「安心電話」に取り組んできました。「安心電話」は、すべての孤独死を予防することはできないし、ささやかな一歩です。しかし、この事業をとおして、地域の関心と連帯意識が強まれば、貴重な第一歩になりうると考えています。
(新松戸診療所・三浦聡雄)