東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

NO!消費税率10%引き上げ
圧迫される医療機関の経営、東京民医連の負担増4億円!
「ゼロ税率」適用を経て消費税廃止に

 政府は2019年10月1日から消費税率10%への引き上げを狙っています。国民生活に大きな負担を強いると同時に、消費税増税は民医連の経営にも大きな負担増をもたらすものです。
 消費税は、消費者がものを買う都度国などへ税金を納付するわけではなく、物品販売や役務提供を行った事業者が、販売代金などと一緒に消費者から消費税を預かり、その事業者が支払った仕入や経費に対する消費税を差し引いた金額を、国などへ納税する仕組みになっています。
 ただし、医療機関の場合は仕組みが異なります。社会保険診療報酬は非課税ですが、医療機関も医薬品仕入や医療機器などの設備投資といったことに対して多額の消費税を支払っています。この支払った消費税のほとんどは非課税の社会保険診療報酬に対応するものとみなされて、患者さんから消費税分をもらう事はできません。また、国などへの納税額から控除することもできません。この仕組みにより、医療機関は結果的に多額の消費税を負担させられているのです。
 17年度に全日本民医連の医科法人が負担した消費税は実に126億円にものぼり、2%増となれば全日本民医連全体では1年間で32億円もの負担増となります。一方で、全国の17年度経常利益合計は35億円なので、消費税負担増というのはこの利益がほぼなくなってしまうことを意味しています。
 東京民医連全体の消費税負担増は4億円にも上ります。ただでさえ診療報酬マイナス改定で厳しい経営状況を余儀なくされるなかで、地域の命と健康を守るため、医療・介護活動に奮闘している民医連・医療機関に、さらなる負荷をかける許しがたい増税であると言えます。
 だからと言って、社会保険診療に10%の消費税を課し、患者に負担を求めよということではありません。輸出大企業などにおける輸出取引は免税、いわゆる「ゼロ税率」となっており、非課税売上とは異なり輸出大企業が支払った消費税は全額控除可能となります。この仕組みによって、輸出売上を中心とする大企業には多額の消費税が還付され、還付額はトヨタや日産など製造業13社合計で1兆円を超えるという試算もあります。このように、免税という仕組みを医療にも適用すれば、国民負担の増加なく、医療機関の消費税負担は回避できるのです。
 政府が狙う消費税率引き上げまで半年を切りました。今の民医連経営にとって、消費税率の引き上げはまさに死活問題になり兼ねません。広く国民や医療界を挙げて、消費税引き上げ阻止、消費税自体を廃止する声を、よりいっそう広げていくことが今まさに求められています。
(法人格なき社団協働 公認会計士 千葉啓)