東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

視角

 以前読んだ本に「思考の癖」という内容があった。思考とは、「思い込み」とも言われ、自分がよいと思うことは違和感なく耳に入るが、疑心暗鬼なことや嫌なことは都合よく解釈する癖が人間にはあるとのこと。韓国視察の際、「思考の癖」について思い出したことがあった▼韓国人は日本人に対して「過去を振り返らない悪しき国民と思っている」と勝手に思い込んでいたこと。「なぜ韓国人は日本人を恨んでいるんだろうか?」と疑念を抱くこと無く、「徴用工問題は解決済」との日本政府の言葉を疑わない「思考の癖」がどこかにあったからだろうか▼今回、韓国へ行き歴史を学ぶ機会を得た。日本人の知らない歴史が韓国の資料館などには展示してあった。日本人として胸が張り裂けそうな気持になり、韓国人の怒りが理解できた。疑心暗鬼や、嫌なことにこそ重要な背景があるのではないか▼私たちの事業所には、糖尿病やアルコール中毒で、繰り返し同じ症状を発症する患者も多い。そんな時、「仕方ない」と自分に言い聞かせ受け入れていた。「仕方ない」の思いの背景には、医療者として差別なく受け入れるという名目的な部分と、患者の生活背景は変えられないとどこかで諦めている部分があった。「諦める・思い込む」前に、問題背景を考え行動する医療者であり続けたい(たけ)