東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

視角

 被爆者援護法にもとづく原爆症の認定は(1)原爆の放射線で病気になった(放射線起因性)(2)現在医療が必要な状態にある(要医療性)の2条件を満たす必要があります。昨年3月時点で被爆者手帳の保持者、約14万人のうち、原爆症認定者は7269人とわずか5%に過ぎません▼最高裁は先月、白内障や慢性甲状腺炎を発症した被爆者の原爆症認定について、原告3人が受けていた経過観察に要医療性はないとの不当な判決を下しました▼原告のひとり、内藤淑子さんは爆心地から2・4キロで母親と被爆しました。小学生の時から視力が悪く、目が見えにくくなった40代の時に両眼の白内障と診断され、昨年右目を手術し、左目は点眼をしながら経過観察していました▼原爆投下時は生後11ケ月だった内藤さんに当時の記憶はありませんが、毎年8月6日に母親から被爆後、下痢・嘔吐・発熱が続いたこと、大火傷をした姉たちが亡くなっていったことなど、「こういうことは絶対にあってはいけんよね」と聞かされたといいます。内藤さんは最高裁の不当な判決の瞬間「母の顔が浮かびました」と記者会見で声を震わせました▼今回の最高裁判決は、75年にわたって様々な健康被害に苦しみ、今なお健康をむしばまれている被爆者の救済に背を向けたものといわざるを得ません。(目)