東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

生活と学業が困難のなか看護師への志を更に強く
コロナ禍で看護師めざす学生への緊急支援を

 昨年9月に全日本民医連が実施したコロナ禍における看護学生の現状を把握するための全国実態調査では、1127人から回答が得られ、深刻な看護学生の実態が明らかになりました。奨学金の返済に不安を抱えている学生が半分を占めており、奨学金の使途は学費に限らず生活費(家族を含む)の補填や将来の返済のために貯金をしている割合が多いこと、家族の給料の減少やアルバイト禁止で生活と学業に困難をきたしている看護学生が3割にのぼります。

 

1か月あたりの貸与額が20万円越える

 東京民医連では、この結果を受け、奨学生や内定者などつながりのある学生にさらに細かいアンケートを行い162人から回答が寄せられました。回答者の72%が東京民医連の奨学生で、そのうち42%が日本学生支援機構や自治体などの奨学金を併用しており、1か月あたりの貸与額が20万円を越える人も5人ほどいる状況でした。授業や実習、入職後の業務についてなど学業上の不安を抱える学生が半数以上おり、日常生活上の健康不安や経済的不安を上回っている状況もありました。
 同時に、このようなきびしい事態に遭っても「患者さんの役に立てる看護師になりたい」と志を更に強くしている事もわかりました。この想いを何としても未来につなげたい!

 

文科省、 厚労省に要請書提出し記者会見

 1月12日、文部科学省・厚生労働省への要請書提出と、厚労省記者クラブでの記者会見が行われ、東葛看護学校の実態を踏まえ学生の実情を訴えました。要請事項は、「学生支援緊急給付金の再給付」「看護学生への給付型奨学金の創設」「看護職養成のための看護学校への必要な助成」3項目です。
 会場では、本校学生自治会の「看護学生の実情」を訴える動画上映をしました。動画では「2020年12月本校の学生を対象に行った調査で『時短営業でアルバイト収入が減った』『新型コロナウイルス感染症対策で、実習2週間前にはアルバイトが出来ないので、奨学金だけで生活費や学費を支払うのが難しい』『家庭の収入が激減したことで、学費の支払いができるかどうか不安』などという声も聞かれました。
 しかし、この状況下でも臨床実習を受け入れていただき、私たちは精いっぱい学んできました。家族の面会もできない中手術を控えている患者さんが不安の中治療に向かう姿を目の当たりにして、回復を諦めずに支援できる看護師になりたいと思います」と力強く訴えました。

 

テレビ取材で実情と看護師への決意語る

 会見直後にはテレビ局からの取材依頼があり、看護学生4人が自らの顔と名前を出して、厳しい実情と看護師になりたい決意を語りました。その後思いがけず1人の卒業生から嬉しいメールがありました。「東葛看護学校がニュースに出ていたので驚きました。東葛学生の学業と生活の現状を訴える姿勢や、しっかりと声を上げていくというブレない姿勢が東葛らしいなと思いました。『看護師として患者さんを第一に考えたのか』と、3年間通して先生方が私に教えてくださったこと、10年たった今でも私のなかに生き続けています。今後もずっと残り続けると思います。」
 未来を創る看護学生は私たちの希望。未来に希望をもって、私たちは学生とともにこれからも声を上げ続けます。
 (勤医会東葛看護専門学校副校長 山田 かおる)