東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

2年ぶりに東京民医連全医師集会を開催
「コロナ禍のなか民医連事業所として何を大切にしてきたのか」について多職種で振り返る

 5月29日、東京民医連春の全医師集会をオンラインで開催しました。医師、歯科医師をはじめ看護・介護職員、事務職員など、約140人が参加しました。

 

根岸京田会長が開会のあいさつ

 開会の挨拶で根岸京田会長は、新入医師・歯科医師へ歓迎の言葉とともに、これまでの新型コロナウイルス対応について振り返りました。民医連がいのち・人権に真摯に向き合ってきたことで、地域・行政からの信頼が生まれ、社会的にも評価されてきた。また世帯人口の減少やコミュニティの衰退、貧困のなかで社会的孤立が進んでいることが、人びとの生活や健康に大きな影響を及ぼしており、、まちづくり、社会的処方を充実させていくことが今後の課題でもある。これまでの活動に確信をもち、地域と手を結びながら頑張っていこうとエールを送りました。

 

テーマに沿って11の指定報告

 続いて、集会テーマ「コロナ禍のなか民医連事業所として何を大切にしてきたのか」に沿って11の指定報告をしていただきました。
 昨年来300例以上の新型コロナ患者を診療してきた立川相互病院から、15の重症例を担当した唐沢知行医師が症例提示をしながら報告。人工呼吸器管理となる重症例では特に職員の負担が大きく、医療従事者の負担を増やさないためにも、感染を抑えることが大切と強調しました。
 日び現場で奮闘する職員間の良好なコミュニケーションを築くことの大切さと工夫についての報告もありました。
 東葛病院の濱砂一光医師からは、サイボウズ(院内ネット)を利用し、新型コロナにまつわる出来事を思いつくままに配信し、ニュース「ゴエイの森」として発信。コロナ病棟の任務を終えた職員には「離任式」を行い、感謝状を手渡しているとの報告がありました。このような取り組みで、不安なコロナ病棟での勤務も「やってもよい」「少しならやってもよい」と考える看護師、介護職員がコロナ病棟開設前よりも増えました。
 王子生協病院の神田美穂医師は、病棟で複数の自宅待機者を出した際にSNSを利用して想いや不安を共有し、一人ひとりの医師ができることを模索し、実践しながら医局が一つにまとまったことで、新型コロナ患者の受け入れをすすめることができたと報告しました。初期研修医を含む急性期病棟勤務の全医師がコロナ感染患者の主治医を経験し、病棟や発熱外来担当を交代制として、無理なく安全で継続可能なシステムを構築して対応しています。
 医系学生の現場体験や実習が制限される中での対応も報告されました。
 リモートで自分たちの医療をリアルに伝える「リモート医師体験」(大田病院 佐久間隆貴医師)や「リモートケースカンファランス」に取り組み(中野共立病院 國府田りえ医師)、困難な中で新たに奨学生を増やしています。コロナ禍で医系学生はフィールドワークなどで実体験することが少なくなっていますが、東京民医連医科奨学生は毎月のミーテイングで民医連綱領を学習しています。人権が尊重される、公正な社会の実現には、医療者が地域の方がたや患者・家族の声に耳を傾け、その声を政治に届けることの大切さを学んだとの経験報告もありました。
 また、青年医師の会の奥野衆史医師は、先輩と後輩、同世代のつながりをつくることが困難な中で、県連全体で学習会や学術運動交流集会を行い、大きな成果があったことを報告しました。今後、コロナ禍で広がる貧困・格差などの問題意識を発信しようと意欲的でした。
 今年の全医師集会は他職種からの参加・報告が特徴です。
 感染を出さない、出したとしても事業継続できる体制づくりについての報告(健和会訪問看護ステーション)、「その人らしく生きる」を目標にデイサービスプログラムを見直した報告(デイサービスセンター采女の里)、保健師の視点から「ひとりだけどひとりじゃない」健康チャレンジなど、オンラインも活用した組合員の健康づくりの報告(西都保健生協)、衛生材料の確保が困難な中、用途に応じたフェイスシールドを作成するなど職員の創意工夫で感染予防に取り組んだ報告(蒲原歯科診療所)がありました。中野共立病院の國府田りえ医師は、多職種がワンチームになったことで100床規模の病院でもコロナ感染症の診療と無低診など、受療権を守る活動を総合的に取り組むことができたと報告しました。

 

山田秀樹医師部長が学習講演

 学習講演は、山田秀樹医師部長が行いました。
 2020・2021年度入職の医師・歯科医師は、各事業所で作成した動画・スライドを紹介。研修の様子や医師一人ひとりの雰囲気や決意が伝わるものでした。

 

岡村博副会長が閉会のあいさつ

 閉会挨拶で岡村博副会長は、「コロナに翻弄された1年、医療人としていのちと健康を守る立場で、地域や多職種と連携して頑張ってきた結果、団結が生まれました。今日の報告の中で出された人権擁護、多様な連携、医学生や私たち職員の学びの保障は全て民医連綱領に基づいた実践です。様ざまな環境、制約の中で大変な思いをしながら各事業所が頑張ってきたことが決して無駄ではなく、正しい道であると実証されました。新しい医師・歯科医師を迎えました。まだ経験は少ないですが民医連職員の一員として、誇りを持ち、今日の報告を糧にして、これから私たちと頑張っていきましょう」と結びました。

 

〈活動指定報告〉
(1)「コロナ禍に“あそぶ”」濱砂 一光医師(東葛病院)
(2)「コロナ最前線からの報告」唐沢 知行医師(立川相互病院)
(3)「コロナ禍での健康づくり活動」高江洲智穂保健師(西都保健生活協同組合)
(4)「デイサービスの常識をゼロにして~  体幹を意識した取り組みの導入~「吉井 暁コンプライアンスマネジャー(デイサービスセンター采女の里)
(5)「コロナ禍の医療現場体験」佐久間 隆貴医師(大田病院)
(6)「医科奨学生活動報告」東京民医連医科奨学生実行委員会
(7)「青年医師の会活動報告」奥野 衆史医師(東京民医連青年医師の会運営委員)
(8)「歯科診療におけるコロナ対策」尾崎 哲也所長(蒲原歯科診療所)
(9)「訪問看護コロナ感染対策の取り組み」小菅 紀子訪看統括部長(健和会)
(10) 「小病院におけるコロナ診療総合診療医の役割」國府田りえ医師(中野共立病院)
(11)「小病院でのコロナ患者受け入れ」神田 美穂医師(王子生協病院)