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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

2022年度診療報酬改定
厳しい経営状況に追いうちをかけるマイナス改定
プラスになるのは高いハードルの施設基準を満たす医療機関のみ
元東京保険医協会事務局次長 栗林令子

 2022年度の点数改定は、全体で0・94%のマイナス改定となった(本体+0・43%、薬価▲1・35%、医材▲0・02%)。
 改定内容を見てみると、初・再診料、入院基本料、投薬の技術料など、繁用点数は基本的に改定なしで据え置きで、新設項目に点数が配分された。咽頭処置や創傷処理など長年据え置きの点数が引き上げられたものの、赤字で困っている医療機関の解消には程遠いようだ。いただいた紙幅の範囲内で、意見を述べたい。

 

■新型コロナウイルス感染症への対応に関する改定

 「改定の基本的視点と具体的方向性」の冒頭に掲げられ、改定の特徴の1つでもある。新設された加算点数、施設基準について述べる。
(1)診療所の外来感染対策向上加算
 新設の加算のうち、診療所の外来感染対策向上加算(6点・月1回・要届出)には、施設基準が設定されている。「感染防止対策部門の設置」「院内感染管理者は、有資格者」「年2回程度、定期的に院内感染対策の研修を実施」…など19項目にも及ぶ。診療所で満たせるのだろうか。
 さらに新設の「連携強化加算3点」「サーベイランス強化加算1点」は外来感染対策向上加算の届出医療機関であることが要件とされている。
 これまでに設定された特例の加算点数は届出なしで、算定要件を満たせば算定可であった。今回は多項目の施設基準がつけられ、限られた医療機関のみが届出可能な点数だ。これが新型コロナ感染対策にも及んでいることは、驚きである。医療機関の経営改善に有用な、どの医療機関でも算定できるものにしてほしい。
(2)施設基準の特例的な取り扱い
 「『新型コロナ感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その26)』(令和2年8月31日)の対象医療機関は、診療実績等の要件に係る臨時的な取扱いを継続する」とある。
 一方「新型コロナ感染症患者受入病床割り当て医療機関」では、「改定前の施設基準等のうち、1年間の実績を求めるものは、現在講じている特例的な対応も終了する」とされている。
 新型コロナ感染症蔓延前の患者数に達していない医療機関はまだまだあるため、届け出取り下げをしなければならない医療機関が出てくるのではなかろうか。新型コロナ感染症の終息が見通せない中、現状に合った取り扱いと、改めて届出が必要な事項を早期に示してほしい。

 

■紹介状なしの受診の定額負担の増額と対象病院の拡大
 2022年10月実施であるが、「保険給付から控除する点数」が新設された。また定額負担の金額も変更された。
○保険給付から控除する点数(2022年10月以降)
【初診時】医科‥200点、歯科‥200点【再診時】医科‥50点,歯科40点
○定額負担の金額(2022年10月以降)
【初診時】医科‥7000円、歯科‥5000円【再診時】医科‥3000円、科‥1900円
○定額負担を求める病院の追加‥「紹介受診重点医療機関(※)のうち一般病床200床以上の病院」
※紹介受診重点医療機関‥医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関
 患者が紹介状を持参しないということについて、定額負担の引き上げの他に診療報酬から控除することとされた。診療報酬を減らし、患者からの定額負担の徴収促進を図りたいということであろう。それよりも患者教育を充実させることこそ必要である。

 

■処方箋様式の見直し(リフィル処方箋の仕組み)
 リフィル処方箋(一定期間、反復利用ができる処方箋)を保険診療に導入、その取り扱いが示され、処方箋様式(様式略)をリフィル処方に対応可能な様式に変更された。
対象‥医師の判断により、処方箋の反復利用が可能な患者への30日以上の投薬
・留意事項(1)‥リフィル処方は、処方箋に新設された「リフィル可」欄にレ点を記入。
・留意事項(2)‥総使用回数は3回まで。1回当たり投薬期間及び総投薬期間は、医学的に適切と判断した期間。
・留意事項(3)‥療養担当規則で「投薬量に限度が定められている医薬品」と「湿布薬」は、リフィル処方箋の対象外。
・留意事項(4)‥リフィル処方箋の1回目の調剤期間は、通常の処方箋の場合と同様。2回目以降の調剤は、1回目の投薬期間を経過する日とし、その前後7日以内。
・留意事項(5)‥保険薬局は、1回目~3回目に調剤した場合、定められた事項を記載してリフィル処方箋の写しを保管。
 すでに90日投与などが日常的に行われており、多量の薬剤の保管に不安がある患者に行う程度で問題はないという声がある。一方で受診なしで薬がもらえて便利と考える患者もいる。リフィル処方箋の発行は、医師の判断で、症状が安定していて、受診しなくても医学管理が可能な場合のみ対象になることや、症状が悪化した場合は薬剤の手持ちがあっても、すぐに受診することを患者に徹底させる必要がある。症状が悪化する患者が続出すれば、厚労省が狙う100億円の医療費削減どころか、医療費増となる。

 

■情報通信機器を用いた初診料の新設
 慎重に検討を重ねるべきで導入は早すぎるとの声が多い。対象は「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に基づき、医師が情報通信機器を用いた初診が可能と判断した患者である。
 日本医学会連合によれば「初診からのオンライン診療の対象は、かかりつけ医が背景を把握している患者。また問診と動画のみで診断を確定できる疾患はほとんどいない。オンライン診療の限界を十分理解したうえで行う。習熟した医師が、対面診療に切り替えることが可能な状況で行うことが適切」としている。医師がこれらをわきまえて、オンライン診療を行うものと考えるが、適切なオンライン初診について引き続き考える必要がある。