東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

誰ひとりとりのこさない公正で平和な社会をめざして
東京民医連第56回定期総会を開催
20年代の4つの長期的課題と56期の活動方針を確認

 東京民医連は、3月19日、セミナーハウスクロスウェーブ府中をキーステーションとしてハイブリット形式で、第56回定期総会を開催しました。代議員196人、評議員1人が参加しました。
 今回の総会は、コロナ禍の第56期の2年間、「民医連の医療・介護活動の二つの柱(1)貧困・格差、超高齢社会に立ち向かう無差別・平等の医療・介護の実践、(2)安全、倫理、共同の営みを軸とした総合的な医療・介護の質の向上」に東京民医連の各法人・事業所がどう取り組んできたかを振り返り、2020年代の長期的課題として提起された4つの課題、(1)平和、地球環境、人権を守る運動を現場から地域へ、そして世界に (2)健康格差の克服に挑む医療・介護の創造と社会保障制度の改善(3)生活と人生に寄り添う切れ目のない医療・介護の体系と方略づくり (4)高い倫理観と変革の視点を養う職員育成を改めて確認し、それを具体化した第56期の方針を確認しました。

 冒頭、髙橋雅哉副会長が「この2年間、国民に対して恥じるような政策が行われる中で、決して恥じることのない医療・介護に私たちは取り組んできました」と職員の奮闘を称え、「職員育成は民医連の存立そのものと位置付けて、今後の取組み方針を確認しましょう」と開会挨拶し、総会が開始されました。
 議長団および総会役員を選出後、根岸京田会長が挨拶しました。それに先立って、第55期の2年間でお亡くなりになられた10名の職員への哀悼の意を表して黙とうを捧げました。

 

増田剛会長が来賓あいさつ

 来賓として、増田剛全日本民医連会長からご挨拶をいただきました。増田会長は、民医連創設から70年間でこれまでにない困難に直面した2年間、常に全国で最大の新型コロナウイルス感染者数を抱えながら全国の模範となるような実践を積み重ねてきた東京民医連の職員・共同組織の大奮闘に感謝の意を述べられました。そして、2月の全日本民医連総会で確認された「人権と公正」の視点でいのちとケアが大切にされる社会の実現をめざす方針と本日、確認される東京民医連方針を携えて大奮闘しようと呼びかけられました。

 

各議案の提案
 議事に移り、井上均副会長から第4号議案「役員選出に関する提案」が行われました。56期の方針を推進し、世代交代、女性役員の登用をすすめる新任16人を含む64人の役員が提案されました。
 続いて、今井事務局長が第1号議案を提案しました。事前討議していただいた方針案に加え、国連憲章に反するロシアによるウクライナ侵略についての国内外の問題を補強して報告しました。市民や病院、極めて危険な原子力発電所への攻撃や核兵器使用をちらつかせるなど人道的にも許されないこの蛮行の即時中止と撤退を世界の市民と連帯して声をあげること、国内では、この事態に悪乗りして「9条は役に立たない」とか「核共有」などと自分たちの軍事大国化の野望実現のために臆面もなく放言する政治家に対して、反対の世論を広げていくことが呼びかけられました。
 第2号議案【2020・2021年決算の提案、会計監査報告】第3号議案【2022年度予算・2023年度概算予算】が提案され、第1号議案は分散会に、第2号・3号議案は組織小委員会に議論を付託しました。

 

分散会・全体会で活発な討議

 10の分散会に分かれ、120分の分散会討議が行われました。分散会では249件の発言があり、56期方針について活発な討議が行われました。
 休憩後に午後の議事に入り、冒頭、来賓として山添拓参議院議員が挨拶されました。新型コロナ感染第6波の出口が見えない状態でまん延防止措置が解除になり、政府の対策はパンデミックの始まりからずっと科学的な対策が欠如していること、ロシア侵略で痛ましい現実を目の当たりにしている今、力には力ではなく、ロシア国民も含めて「戦争反対」の圧倒的世論でプーチンを包囲することなどが話され、「いのちを何よりも大切にする政治」をともに実現しようと呼びかけられました。
 全体会討議では、15件の発言がありました。
 山田秀樹理事は、「医師の働き方」改革の対応について発言。2024年度にスタートする待ったなしの課題となっているが、東京民医連の各法人の対応は遅れている。病院の「宿日直届」を提出したのは健和会のみ。届出を出していない病院には非常勤当直医も集まらなくなる。時間外労働が増えることもあり、経営にも直結する課題として医局だけでなく法人全体で論議が必要。医師労働の軽減の課題でもタスクシフトの具体化、医師事務補助の拡大に取り組まなければならない。また、医師の増員なしの働き方改革はたたかいの課題でもあり、民医連外の医療機関とも協力を求めていくことが呼びかけられました。
 二階堂規子理事は、看護現場でのハラスメントガイドライン策定について発言。2018年と2021年にアンケートを実施したが、依然としてマニュアルなしの法人が50%。介護保険制度で2021年から義務化されている。法人ぐるみで安心して働き続けられる職場づくりをしていこうと発言されました。
 窪田光理事は、乳腺外科医師冤罪事件の経過を報告。2月18日に最高裁が高裁有罪判決の差し戻し判断をしたが6年半の期間を使って検察が有罪を証明できなかった事件を無罪としなかったことは、「疑わしきは罰せず」の原則に反し、司法の在り方が問われる。これ以上、医師本人に多大な負担をかけることは許されないと批判し、差し戻し審で無罪判決を勝ち取るまでの支援を呼びかけました。

 

今井事務局長の総括答弁

 討議を終了し、今井事務局長が総括答弁を行いました。
 分散会・全体会議合わせて264件の発言で各地、各事業所で困難ななか患者さん、利用者さん、地域の皆さんのためにさまざまな実践が行われていること、活発な討議となったことを述べた後、討議の特徴を以下4点について発言しました。
 (1)新型コロナウイルス感染症に対する各事業所、地域でいのちを守るために奮闘した取り組みが多く発言されたこと
 (2) ケアマネジャーをはじめ、介護職場の深刻な人手不足の報告。介護保険は更なる制度改悪も検討されており、介護保険制度の抜本的改善を求め、介護ウェーブの取り組みをさらに広げていく
 (3) 民医連の医療介護活動と経営、職員育成、運動を総合的に持続可能な形で進めていくためにも、積極的な法人間の共同や合同を検討していくこと
 (4) 医師問題について、全職員の課題、全職員参加の取り組みとしての認識と実践を広げて、医師の働き方改革を着実に取組むこと
 発言の最後に、いくつかの補強、修正の意見について正面から受け止め、56期の新しい理事会に修文を付託することを確認して総括答弁を終えました。

 

すべての議案が採択

 資格審査委員会からの報告で総会が成立していることが確認され、1~3号議案の採決を行いました。いずれも圧倒的多数で採択されました。
 選挙管理委員会より郵送投票の開票結果を報告。全員が信任されました。
 つづいて特別決議が採択されました。(1)ロシアのウクライナ侵略に対して、世界の市民と連帯し平和的解決のために全力をあげて行動すること、(2)新型コロナウイルス感染症からいのちと健康・生活を守るために、科学的な感染対策と生活に困っている全ての人々に対する十分な支援ができる政治への転換を求めることが確認されました。
 新理事会を代表して根岸会長が挨拶し、今回の総会で退任された14人を紹介しました。退任役員を代表して葛西英子副会長が挨拶しました。
 最後に、岡村博副会長が閉会挨拶しました。この2年間、医療・介護活動、経営、共同組織、後継者育成、すべての分野で困難が私たちに降りかかってきた。そういう中でも東京民医連は一つの立場で情報を共有し、助け合ったからこそ乗り越えられた。今後も厳しい情勢は続くが、誰ひとり、とりのこさない公正で平和な社会を実現するためにぶれずに力をあわせようと訴えました。

 

第56回定期総会スローガン
一人ひとりが個人として尊重される平和で公正な社会をめざし、核兵器廃絶・9条改憲ストップ・脱炭素・人権としての社会保障の実現に取り組もう
共同のいとなみの医療と介護、共同組織活動を発展させ、人と環境にやさしいまちづくりをすすめよう
民医連職員として育ちあいを大切にし、無差別・平等、非営利・協同の事業と運動を未来につないでいこう