東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

東京民医連全医師集会開く
「人権と公正の視点」とは
全日本民医連方針を深める

 今年の全医師集会は「人権と公正の視点・私たちは何を大切にするのか~全日本民医連方針を深める~」をテーマに4月23日に開催。医師を中心に130人以上が参加しました。
 今期の全日本民医連方針では、「人権と公正」という言葉がクローズアップされました。これまでの民医連の文書では使われていなかった視点であり、今期の活動の中で深めていくことが大切です。集会では、根岸東京民医連会長から「平等と公正、正義の倫理とケアの倫理」と題して、青井未帆学習院大学法科大学院教授(憲法学)からは「人権と公正の視点」と題して、それぞれ講演をしていただきました。
 根岸会長は、「公正」とは「機会の公正」「手続き的公正」など社会的決定の評価軸の一つと説明。医療の場面では、米国医学会が医療の6つの改善目標の一つに「公正性」を掲げており、「医療の質としての公正」とは、患者の性、人種、年齢、民族性、収入、教育、障害、性的指向、居住地などを理由にした格差があるべきではないことを指摘しました。
 また、今期の総会のもうひとつのキーワード「ケアが大切にされる社会」について、今の社会が「ケアを顧みない世界」であり、国際競争力しか関心のない経済、ケアに関わる仕事を女性に押し付け、低賃金で搾取し続けたりと、社会的に弱い人びとのケアに失敗し続けていると話します。そしていのちとケアが大切にされる社会をつくるために「人権」と「公正」が保障されることが必要とまとめました。
 青井先生からは、憲法学者の立場から「人権と公正」について話されました。「人権」については「マグナカルタ」を例に、権力から市民が闘い取った権利と説明、日本国憲法も12条で「国民の不断の努力で維持」と定めていることが強調されました。「公正」については、新型コロナ対応で行われた一定の権利制限を例に「(特定の人が)特別な犠牲を強いられない」「(犠牲を強いられた場合には)補填される」ことが説明されました。
 集会の後半は、大田病院の阿部風吹医師から初期研修、立川相互病院の宮澤壮太医師から後期研修、相互歯科の石橋美鶴希歯科医師から歯科初期研修、東葛歯科の高田恵美歯科医師から歯科3年研修の修了報告がありました。
 集会のまとめとして、山田医師部長から「医局大切文書をつくろう」と提起されました。ロシアのウクライナ侵攻、新型コロナ感染拡大など医療だけではいのちが守れないことが明確に示される中で「貧困と格差、超高齢化社会に立ち向かう無差別平等の医療・介護の実践」「安全、倫理、共同のいとなみを軸とした総合的な医療・介護の質の向上」という民医連の医療・介護活動の二つの柱がより深化しており、それを担う「医師をどのように養成し、確保していくのか、医師集団として何をめざして医療を行うのか」を論議していくことが提起されました。医師一人ひとりの多様性・多面性を力にし、民医連の医療活動を実践するために医局での話し合いが重要であるとまとめました。
 「今までと違う視点で憲法について学ぶことができた」「当たり前と考えてきた権利の背景がわかった」「日々の診療で一杯いっぱいになりそうな中、社会的視点も見失わないような医師でありたい」など多くの感想が寄せられました。