東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

患者・家族の思いに寄り添って

 50代男性で一人暮らしの方が脳出血のため右麻痺・失語症となり、これを機に、30代の息子さんが同居し介護されることとなったケースを紹介します。
 相模原の自宅で意識消失しているところを発見され、当院へリハビリ目的で転院してきました。麻痺に加え高次脳機能障害による注意力の低下があり、移動す るときは介助や見守りが必要でした。コミュニケーションも不明瞭な言葉しか出ず、理解の低下のため転倒もしていました。
 一人暮らしは難しい状況でしたが、本人の希望は「自宅への退院」でした。荻窪に住んでいる息子(キーパーソン)は、そんな父の思いを受け止めようと一緒に住むことを考え始めました。この親子の思いを受け止め、病棟が動き始めました。
 まず住むところです。会社の寮に住んでいたため、復職できなければ住むところがありません。なにか制度がないか会社に相談したところ、復職が不可能だと しても傷病手当の対象なので、家族と同居ならば3年間は寮の利用は可能であることがわかりました。3年あればその先を考える時間ができます。車いすでの生 活が可能な1階で空いている部屋を探してもらい、北区に見つかりました。次は費用。実際の家屋調査に看護・リハスタッフ・本人・息子にケアマネも同行し、 何が必要か、どんなサービスが必要かを検討しました。
 しかしこの時点でのケアプランは、要介護4であるにも関わらず自費が50万円を超えていました。これでは生活ができるわけがありません。高額になった理 由とそれを解決するために何度もカンファレンスを行い、幾つかの目標を立て本人や息子さんと新しい自宅に帰るために奮闘しています。徐々にできることが増 え、息子さんも介護のイメージができ、11月中旬の退院に向けてケアプランの自費分が減ってきています。
 患者や家族の思いを受け止め寄り添っていくことの手ごたえを、今まさに病棟全体で感じています。
(中野共立病院・2011年11月号掲載)