東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

ターミナル患者の願いに添い

 当院はJR青梅線沿線にある102床の医療療養型病院です。年々ターミナルの患者様が増えてきています。そこでターミナルグループを作り、ターミナルの患者様には担当をつけ積極的に関わるようにしています。
 今回70代の男性で、食道癌・結腸癌・膀胱癌・骨転移の方が入院されました。入院時から腰痛が強く麻薬を使用していました。
 はじめは介助があればトイレに行けるレベルでしたが、病状が進みADLが低下。頻回な血尿がありましたが尿管カテーテルも挿入できない状況で、廊下にいざって出てきて放尿してしまったり、尿汚染で何度も衣類交換をする状態でした。
 しかし血尿が軽減した頃から帰宅希望がみられました。ほとんど寝ていることが多かったのに、ある日家に帰りたいという強い思いが行動になったのか、夜間に居室の窓からベランダに出ているところを発見されました。誰も想像できないことでした。
 ご本人の家に帰りたいという強い希望をかなえてあげたいと、病棟内で外出を検討しました。消極的な御家族に繰り返し説明し、数時間外出することができま した。その間にも、希望の喫煙・ビールの提供・散歩・行事への参加など院内でできることをしていきました。
 ターミナルの患者様には御家族との連絡ノート(療養生活ノートとしています)があり、できるだけ記念になるようにと院内での写真ものせています。印象に 残ったのはビールを飲んでいるときのとっても幸せそうな顔。御家族は「こんな笑顔 家でも見たことない」と喜ばれました。残念ながら外出から5日後に永眠 されました。
 ターミナルグループを開始してから、職員全体がターミナルの患者様への意識が強くなっています。今後も職員全体で話しあっていき、良い看護・介護をしていきたいと思います。
(あきしま相互病院・2011年12月号掲載)