東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

Kさんのデスカンファ

 当病棟は消化器・呼吸器病棟で、患者さんを継続的に看護させていただいています。
 春先に、独居の体動困難な肝細胞癌ターミナルのKさんが「身辺整理をしたい」と在宅退院を希望され、在宅スタッフ・退院調整看護師と退院調整を行ない、ご自宅で亡くなられました。その後、病院・診療所連携の振り返りと患者背景の共有も含め、診療所・訪問看護とのカンファレンスを行いました。
 病棟は退院をした患者さんには、退院後の生活がどのような状況だったのかなど、アプローチが起こせない状況です。そのため、在宅とのカンファレンスは退院後の患者様を知る貴重な場となりました。
 ご自宅は身辺整理とは言ったものの、Kさんは動けず。継続的に訪問を行う中で、本当は「子どもと会いたかった」との言葉が聞かれたとのことでした。
 Kさんの状況もターミナル期になっているため、往診の主治医から元奥様へ電話をして病状を伝え、市の高齢福祉課が息子さんへ電話をしてくれていました。
 元奥様への病状説明があったためか、翌日曜日に長男・次男ご家族とアパートに来られ、お孫さんからのメッセージをもらうなど交流したそうです。
 翌日の朝、ヘルパーが訪問した際に、昨日のことを嬉しそうに話されていたそうです。同日、午後のヘルパーが訪問し、心肺停止を発見し、往診の主治医により死亡確認となりました。
 私は、病棟で体動困難な独居患者さんに対し、在宅退院困難ではないかと心配になりましたが、在宅のフォロー体制の強さを改めて感じました。また、地域とつながり、包括支援センターの位置付けの広さも感じた事例でもあります。
 患者様の要求や要望を大切にしながら、当病棟では看護を実践しています。そのため、急な退院も少なくなく、受け入れてくれる在宅力の強さも感じ、また困った時の当院の存在意義も知ることができました。
 今後も退院調整看護師や在宅とも連携をとりながら、患者様の要求を大切にした看護を実践していきたいと思います。
(立川相互病院・2013年7月号掲載)