東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

「ようこそサンマルク喫茶へ」

 69歳の一人暮らしの女性が急性期病院より終末期ということで当院に転院してきました。肺癌という病名は本人に告知済み。予後は脳転移・全身転移があるため2~3カ月ぐらいとキーパーソンであるパートナーさんに説明されていました。弟さんがいますが、遠方のためパートナーさんをキーパーソンとしています。
 前医では疼痛コントロールもよくレスキューの使用もなかったということでしたが、転院してまもなくから痛みが増強し、麻薬量も増えていきました。
 「病棟のスタッフが優しいから私はもうすぐ逝くんだ」と話していたこともありましたが、日々のケアや会話を通して少しずつ信頼関係を作り、終末期カンファレンスを繰り返しました。疼痛コントロールのよい時にパートナーさんや病棟スタッフ、リハスタッフ等と近くの昭和記念公園にストレッチャーで散歩に行きました。台風が来ていた時期で、天気と病状、病棟体制を見ながら急きょ決め出かけました。「森林浴ができて気持ちよかった。また、行きたい」と、ご本人・パートナーさんに喜ばれました。
 コーヒーが好きということで入院翌日から朝のコーヒーを提供していましたが、病状が進み、動けなくなってきた時にもパートナーさんの協力も得てお部屋でコーヒー豆をひき、ドリップでのコーヒーを楽しみました。
 病室や病棟がコーヒーの香りにつつまれアロマ効果がありました。コーヒーが入ると勤務者が一人ずつ病室に行きコーヒーを飲みながら話をし、パートナーさんや職員とともにコーヒータイムのひとときを過ごすことができました。職員が部屋に入ると「ようこそサンマルク喫茶へ」と笑顔で迎え入れてくれました。病室番号は「309号」。
 このように、療養病棟である当院では、終末期にある患者様一人ひとりの思いに寄り添い、ご家族とともに穏やかな療養生活が送れるようスタッフ一同で取り組んでいます。
 「ここの病院で最期の時を迎えられてよかった」というご家族の言葉を励みに、これからも患者様、ご家族と一緒に取り組む活動をしていきたいと思います。(あきしま相互病院・2013年12月号掲載)