東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

心強い 地域の多職種連携!!

 駅近にある当メンタルクリニックには、多種多様な悩みを抱えた方が受診されます。地域の多職種と連携をはかり皆で患者をサポートすることが多々あります。
 Aさんは40代、妊娠8カ月。脳性麻痺の夫と長女(2歳)の3人家族。不妊治療後、第2子を妊娠。「育児にイライラして長女に手を挙げそうになり、殺してしまうかもしれない。眠れない」を主訴に夫と受診しました。
 医師の前では緘黙(かんもく)で泣くばかり、周産期うつ病の診断で治療を開始も母乳栄養へのこだわりで服薬拒否。家族関係が悪くキーパーソンは夫のみ。虐待の危機介入と判断し、訪問看護、相談支援センター、市障がい福祉課・子ども支援課、児童相談所などと連携を開始。
 次女出産後も状態は変わらず希死念慮(きしねんりょ)、焦燥感が強く、説得し休息と危機介入でやっと入院。次女は児童相談所預かりとしたものの、夫両親に預けた長女が心配で早期退院。連携チームとの連絡調整などであたふたする日が続いたり、本人の訴えで訪問してみると実際とは違っていたり、次女が肺炎や気管支炎を繰り返すなどいろいろありました。
 訪問看護の心強いサポートで、長女に子どもらしい笑顔が戻り、次女も何とか成長、保育園に入所が可能となりました。連携チームに保育園も加わり、多職種連携でAさんのできることとできないことなどの把握ができました。現在、Aさんにも少しゆとりが出て、受診時に見える笑顔と普通にできる雑談が回復の証かなと感じ、嬉しくなります。
 核家族が当たり前の時代になり、人間関係が希薄でそのひずみが家族づくりに顕著に表れているような気がします。SOSの出し方が分らないなど世代を超えてコミ二ケーション不足を痛感しています。
 この事例で、地域の多職種と連携することにより情報を共有し、より細かい支援・援助が提供できると実感しました。抱えている問題は多々ありますが、今後も関係を切らさずに孤立しないように地域連携で見守りたいと思います。
(メンタルクリニックみさと・2018年12月号掲載)