東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

共感できる「看護の力」が重要

 最近の訪問診療依頼は近隣だけではなく急性期治療後や癌専門病院からが増えています。
 現在の訪問診療は112件となっています。依頼は、病院のMSW、居宅事業所、訪問看護、包括支援センター、NPO法人、有料老人ホーム、自立支援事業所、保護課などからで「断らない」ことを診療所全体で意思統一し、依頼があったら迅速に開始できるように努めています。病状や生活環境、介護状況の把握、家族や多職種と連絡をとり、退院前カンファレンスに参加。往診開始は当日の時もあり往診時には担当者会議も行います。そして24時間365日夜間深夜問わず対応出来るように皆で日び奮闘しています。
 Aさん80代女性は、娘さんと二人暮らしで盲腸癌、肝転移。病院のMSWから依頼で往診開始。歩けなくなったら最期は入院の希望でした(緩和登録済)。
 その後、歩行困難となり娘さんが救急搬送し入院。しかし、Aさんは「家に帰りたい」、娘さんも「数日でもいいから帰したい」との希望で、入院先のMSWやCM、訪看、介護と連携し早そうに在宅ですでに環境の準備をしました。退院後もAさんは「家に居たい」。娘さんはとても献身的にみていましたが、24時間輸液や尿カテーテルの管理を行うことや、苦しむ姿は見ていられないと不安や迷いがありました。
 在宅でも癌の痛みコントロールはできるし、皆で支援しますと話し合った結果、娘さんは看取ることを決めました。そして2週間後、娘さんに見守られ息をひきとりました。
 「最期を自宅で」の希望に寄り添い、何度も主治医、多職種で話し合い、娘さんの頻回なコールや夜間・休日の痛みの対応など、相談や不安の連絡にそれぞれが対応したことは娘さんの安心と自信につながり、パニックにならず看取れたのではないかと思います。娘さんから「自宅で看取れてよかった」という言葉も聞かれました。
 在宅看取りには、本人だけではなく辛い思いをしている家族の思いもくみ取り共感できる「看護の力」が重要だと感じました。これからも診療所の看護師として多職種と連携をとり合い、患者様や家族を支えていきたいと思います。
(竜泉診療所・2019年5月号掲載)