東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

チーム医療で手遅れ防ぐ

 A氏、60代。突然、全日本民医連から紹介がありました。無保険でクリニックに全額自己負担で受診をしていたけれど、いよいよ具合が悪くなって動けなくなり、以前土建の仕事をしていた時に健診を受けた「民医連」というワードをつてにメールで問い合わせがあり、医療に繋がった方でした。
 1人で独立し、自宅で解体業をしており、月50万円ほどの収入がありましたが、具合が悪くて働けなくなり、貯金を切り崩して生活をしていました。
 当院を受診した時には、尿失禁でオムツ対応。尿の出る感覚が分からず、自分で1日8回交換していました。外来受診に誘導し、前立腺癌、リンパ節、骨転移という診断で入院となりました。
 家族とは音信不通。この先の収入が見込めないことから、福祉事務所に生活保護の相談をしましたが、タクシーでの来院であること、貯金が40万円ほどあることで申請には至らず、MSW、医事課と相談し、生活保護の基準額が下まわるところまで、自費で入院費を支払いしたところで生活保護となりました。
 その後、専門の治療のできる病院に転院することができ、今後の生活を整えるために再び当院に転院。自己導尿1日6回はあるものの、杖歩行となり、病状予測は難しいけれどアパートを探し、退院となりました。
 今回の事例をとうして、普通に生活をしていても病気になったことで転がるように転落していく怖さを改めて感じました。無保険や家族がいないなどの問題はあったとしても、仕事を続けていれば生活は成り立ったはずです。症状が進み、いよいよ動けなくなった時に「民医連」というキーワードを思い出してくれて本当に良かった。
 今回、連携室が医療に繋げ病棟スタッフやセラピスト、医事課と様ざまな職種が関わり、患者の生活を丸ごと捉えて問題点を明らかにし、生活保護を取得して治療に結び付け、退院後の生活まで考えました。その根底にあるのは、患者の生きる権利と命を守る民医連綱領に基づいているということを、学習月間の中で改めて感じることができました。
(小豆沢病院・2019年9月号掲載)