東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

看護師1年目のメーデーの日

 立川相互病院から立川南口までの道のりを歩いているときに、すれ違った通行人の一人が突然倒れる場面があった。
 一瞬の出来事だったが、デモ隊の中から素早く飛び出し、倒れた通行人に駆け寄る看護師の姿がとても印象的だったことを覚えている。今でもあの時のことを度々思い出す。いつか私も、そんな場面に遭遇した時には素早く的確に動ける看護師になれるようにと臨床経験を積んできた。
 冬の寒さが身に染みるようになってきたある日、仕事を終えて職場近くのコンビニエンスストアに立ち寄ろうとしたところ、何ともいえない違和感があった。
 目を凝らすと暗闇の中、人が倒れている。隣には電話している警察官。既に対応中なのかもしれないと思い、声を掛けるかどうか迷いつつ、余計なお世話だとしても、見て見ぬふりはできないと警察官に声を掛けた。すると警察官も人が倒れていることに驚き、そこから怒涛の急変対応が始まった。
 急変対応時のあれこれは、バタバタし過ぎて、必死で、何をしたかも記憶が曖昧。マンパワーもなく、救急車も来ず、Drも居ない中で、自分に何ができるのか?看護師の経験といっても職場の外に出たらできることなんてまるで少なくて、それでも思いつく限り、できることをやるしかないと、とにかく必死だった。
 気づけば周りに人が集まりだし、救急車が来るまでの間に最低限の応急処置はできたように思う。
 今回、身一つで応急処置・急変対応をするのは、全然簡単なことではないと思った。肩書だけでは人は救えない。だけど「助けたいと思う気持ち」「行動する勇気」がなければ人は救えない。
 看護師としての知識・技術・経験と、人を助けたい・命を救いたいという気持ち、勇気を忘れずに持ち続けようと思う出来事だった。
 看護師1年目に目標にしたあの看護師が誰なのかは分からないままだけれど、今もなお、看護師としての原動力をもらっているように思う。
(ながふさ共立診療所・2022年2月号掲載)