東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

「生きる」を支える援助がしたい

 4月上旬、世間的には感染状況が下火になってきた頃、病棟で初の新型コロナ感染が発生しました。とうとう起きてしまったと思う反面、まさか今起きるなんてと現実味がないまま感染対策基準を開いたことを覚えています。これからどうなってしまうのだろうと、強い恐怖を感じました。
 毎日患者さんも職員も次々に発熱し陽性となりました。残された職員で慣れない感染対策に追われながらこれまでの業務もこなす日々に疲弊していき、疲れていても休めず、皆限界の状態で闘っていました。自分自身も精一杯で仲間をフォローできないことがとにかく辛かったです。明日どうなるかわからない強い緊張が続き、疲労困憊で布団に入っても眠れませんでした。
 しかし、それ以上に辛かったことは隔離を必要としたことで、リハビリが休止となり、患者さんの廃用が進み、今まで当たり前だった日常が失われたことです。レッドゾーンが日ごとに増え、毎日部屋移動を行い、髭を剃りたくても身体を拭いて保湿したくても、転院準備や部屋の清掃、廃棄物の処理に追われ、オムツ交換や食事、処置など最低限のことをするだけで1日が終わってしまうのです。業務が多すぎてとても手がまわらない状態に「これ以上誰も悪化しませんように」と祈ることしかできませんでした。残念ながら8人の患者さんが転院を余儀なくされ、2人の患者さんが亡くなられました。
 幸い、他職場への感染を防ぐことができ、病棟スタッフの団結力と法人内の事業所からたくさんの応援を頂けたことで、クラスターを終息させることができました。クラスターを経験したことで日頃の感染対策の重要性を身に染みて理解し、もう二度と経験したくないとそんな思いを込めて感染対策を徹底しています。
 ようやく取り戻した日常に感謝し、未だ社会で終息しないコロナ感染拡大に患者さんと共に立ち向かっていきたいと思います。
(みさと協立病院・2022年8月号掲載)