東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

外来で気になる夫婦にあきらめないかかわり


 当院には担当する看護師が診療の際、患者の生活状況や思いを聞き取り、生活をサポートする家庭診療があります。
 80代夫婦、夫が家庭医診療科通院中。2021年に大腸内視鏡で多発大腸ポリープが見つかり切除が必要と言われました。治療をすすめるが、夫は「認知症、視力障害のある妻を一人にできない」「妹は月1回手伝いに来てくれるが泊まってはくれない」と1年間入院治療を拒否していました。
 看護師からは、何度か「妹さんとよく相談してみてはどうか。妻のことを包括支援センターに相談をしてみたらどうか。訪問診療を利用することもできる」など声かけを続けました。
 夫の「夜中にTVのタイマーが鳴り、起こされて困る」という訴えには、まずは自宅での様子を見ることができたらと思い、夫に「夕方なら看護師が自宅に行ける」と伝えましたが、全て拒否されてしまいました。
 2022年になり、夫は腎機能障害が進行し、腎臓内科に紹介となりました。ある時、医師から改めて訪問診療の話をすすめるとやっと了承されました。無事、妻にも医療と介護の介入ができるようになりました。
 患者とその家族は今までの自立した生活が続けられると考え、本人たちだけで頑張り続ける方が多いと感じています。できることを客観的に見極め、医療や介護の介入とのバランスを考え、関わることも大事です。本人たちの思いを確認しながら、また状態変化した時にはすぐ動けるように、看護師は生活背景を聞き、あきらめずに声かけをしています。
 医療者がすぐ介入したい!と思っても、スムーズにいかないことに悶々とすることがありますが、今回は根気強く医師と看護師が夫に働きかけた結果、妻にも介入することができました。
 コロナ禍と看護師不足は続くため、以前のように家庭診療に看護師がつける日は遠い。限られた体制で医師とどのように協力し、患者とその家族をどのようにみていくか、医師と看護師だけでなく、多職種で知恵を出し合い、検討する必要があると感じています。
(王子生協病院・2023年1月号掲載)