地域から頼りにされる病院をめざして
地域から頼りにされる病院をめざして
2024年9月、当法人に地域サポートセンター(以下、地サポ)が設立されました。地サポから相談を受け、関わった事例を報告します。
A氏80代男性、高血圧症。脳梗塞で介護認定を受けている弟を介護し、法人内診療所に二人で通院しています。地域包括支援センター(以下、包括)も気になる兄弟として見守りを行っていました。
ある日、包括から地サポにA氏の体調が悪いと連絡があり、職員が訪問し、当院から往診。診察や検査データからは緊急を要する状態ではありませんでしたが、室内は物があふれ歩行スペースが狭く、屋根には穴があき、吹きさらしで、身体状態が悪化する環境でした。
弟は緊急ショートステイで施設入所し、A氏は当院往診対応となりました。自宅療養を希望されたので、訪問診療を勧めました。しかし、「来てくれるのは嬉しいが料金が高い。診療所に自分で行ける。」と拒否をされました。
その為、継続的に地サポとは情報を共有し、今後必要と考えられる身体管理、介護保険の申請や施設入所などを検討しました。体調悪化時はすぐ往診できるように外来看護師と相談しました。
寒さがさらに厳しくなり、A氏も自宅での生活は難しいと納得し、ショートステイを利用することになりました。慣れない施設での生活や、弟のことを心配する言動があり、診察時に本人の話を丁寧に聞く時間を設けました。施設に入っている弟の様子を伝えるとA氏の表情は和らぎました。しかし、言動が落ち着かなくなり興奮することが増え、施設の方とも相談し対症薬を開始しました。現在も施設へ往診を行い、医療管理を続けています。区の担当者からは、「対応に苦慮する事例が増えているが、今回の様に連携できる場所があって安心」との言葉を頂きました。今後も地域の医療・介護の困り事に対応していきたいです。
(東京健生病院・2025年5月号掲載)