東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

「家で過ごしたい気持ち」に寄り添って

 3姉妹の長女で、妹たちの支援を受けながら一人暮らしをしていた92歳のAさんをご紹介します。
 2019年から慢性心不全増悪で入退院を繰り返していました。2024年11月には腎機能も次第に悪化し、全身浮腫著明のため、独居生活が困難になりました。
 2024年12月下旬からの入院加療を経て、妹たちも健康不安を抱え、かつ遠方で姉のフォローが難しくなったため、家族で話し合いが持たれました。Aさんは「どうしても入所したくない」と渋っていましたが、退院後は介護老人保健施設に入所することになりました。
 入所してからも心不全による入退院を繰り返し、ほとんどの時間を病院で過ごされた、と言っても過言ではありません。
 入院中も採血や点滴などを拒否され、内服治療のみを行っていたとのこと。Aさんの「どうしても家に帰りたい」という強い気持ちは変わらず、4月中旬に自宅退院されました。
 退院後の初回訪問では「家に帰るのは、これが最後のチャンスだと思ったの。もう二度と帰れないと思って。どうしても帰りたかった」の言葉に、Aさんの並々ならぬ覚悟を感じました。
 入所前とは違い、妹たちにはほとんど頼ることができないため、訪問看護や訪問リハビリ以外に、ヘルパーや配食も利用しています。
 以前との生活の違いに不満や戸惑いを表出されることもありましたが、徐々に慣れてきた様子です。今では「帰ってこられて本当に良かった」と穏やかに過ごされています。
 一日でも長く在宅生活を継続できるように、支援をしていきたいと思います。
(訪問看護ステーション共立・2025年6月号掲載)