医学サイト
東京民医連 HOME

医療現場体験

3.実習のポイント

【自己決定型学習】病院・診療所実習わがまま主義のススメ
 実習内容を充実させるために、自分の思いをしっかり伝えよう!

はじめに
〜病院・診療所に「記憶」される医学生を目指してみませんか?〜
ホテルやブティック、すし屋などのお得意さんになるコツは、足繁く通うことだけではありません。「こんなことを頼んだらわがままだと思われるのではないだろうか」というような、少し難しい要求を出すことが効果的だと言われています。サービスのプロは、相手をうならせることを生きがいとしているようなところがあるので、お客様からだされた要求にはできるだけ応えようとします。そのことが「記憶」されるお客になることにつながるのです。

「わがまま」とは言っても、本当にわがままであってはいけません。その要求がその人にとって切実で、切実さの理由が相手に伝わることが大切です。「うまく利用して得をしよう」というような下心のある要求や、「できるかどうか試して困らせてやろう」といった理不尽な要求でないことが大切です。こういう要求をするお客は単なる嫌なお客でしかありません。

医学生の実習を受け入れようとしている病院・診療所も基本的に似たようなところがあります。現場で働く医療従事者は、「医療の楽しさを伝えたい」「医師のやりがいを伝えたい」「医学生を感動させたい」と思っている人が少なくありません。ぜひ、「こんな実習はできないだろうか」というような、一見すると「わがまま」にも思える要求をぶつけてみましょう。

そして、もし、そのような実習をして感動したら、葉書や手紙、E-mailでもいいですから、感想と感謝の言葉を返しましょう。その時に、なるべく紋切り型の文章にならないようにすることをお勧めします。紋切り型の文章とは、「大学では経験できない地域医療を体験できて、とても有意義でした」というようなものです。これでは、何に感動したのか、全然伝わないと思うからです。伝わらないということは、記憶に残らないということになります。実習で経験したことを具体的に書き、その経験によって自分の中にどのような気づきや感動が起こり、さらに医師像や今後の行動にどのような変化を与えたのか、このような文章をもらうと、病院・診療所も苦労して実習を受け入れた甲斐があったと思うのではないでしょうか。病院・診療所に「記憶」される医学生になると、次の実習でさらに高い要求をぶつけても応えてくれるかもしれません。

1) 自分のこれまでの経験をできるだけ伝えよう
〜実習で得た経験を次の実習に生かすために、振り返りと積み重ねが大切!〜
病院・診療所の実習担当者は、実習をする医学生がこれまでにどのような経験をしたのかを知りたがります。それは、できるだけ同じような実習をさせて、医学生を失望させたくないからです。けれども、医学生は大学によって受けている教育内容も異なりますし、自分自身の入院体験の有無や、家族の介護の経験、家族の死に立ち会ったことの有無、さらには、医学部に入学する前の職歴などによって、これまでの医療の経験が様々です。
また、他の病院・診療所での実習体験の有無も伝えた方がいいでしょう。「他の病院でも実習したことがわかると、心証を悪くするのではないか」などという心配は無用です。病院・診療所の実習担当者は、他の病院・診療所がどのように医学生を受け入れているかについても興味があります。どのような実習をして、どのように感じたのかについて、詳しく伝えましょう。

2) 自分の目指す医師像を伝えよう
〜自分の医師像を、実習内容のテーマに反映してみよう!〜
将来、どのような医師になりたいのかがはっきりしているのであれば、そのこともなるべく伝えましょう。例えば、「ある程度、力がついたら、発展途上国に行って医療をしたいと思っています」「家庭医になりたいです」「基礎研究をやりたい」「心療内科の医師になりたい」「ホスピスで働く医師になりたい」など、現時点での漠然とした方向性でもいいですから、伝えましょう。
また、どこで働く医師になりたいかということだけでなく、「患者の病気だけでなく、人生に寄り添える医師になりたい」「飛行機の中で、『お医者さんはいますか』と呼ばれても応えられる医師になりたい」などという言葉でもいいと思います。
病院・診療所の実習担当者は、医学生の目指す医師像があると、担当の医師を決めたり、実習内容を決めたりするのに、とても参考になります。

3) 実習についての要望をできるだけ具体的に伝えよう
〜実習で何を学びたいのか、より具体的なテーマを作ろう!〜
実習についての要望は、「具体的に」伝えることが大切です。そのためには、医療がどのような流れで行われているかを知らなければ難しいでしょう。例えば、「外来−入院−在宅の連携がみたい」というような要望は、そもそも、入院の前と退院の後に患者がどうなるのかということへの想像力がなければ、生まれてこない要望です。
「在宅医療がみたい」といっても、「在宅で療養している患者さんにどのような医療サービスが提供されているのか」という視点で見るのと、「往診をしている医師はどのようなことに留意して医療を行っているのか」という視点で見るのとでは、実習プログラムは変わってきます。
「外科の医療がみたい」といっても、「手術がみたい」のか、「周術期の管理がみたい」のか、「外来での術後管理がみたい」のか、「手術適応の決定のプロセスをみたい」のかでは、実習プログラムは変わってきます。
さらに、実習の期間によって可能なことと不可能なことがあります。「クリニカルクラークシップをしたい」という要望があっても、2日間くらいの実習期間では難しいですし、「退院から在宅への流れをみたい」という要望があっても、ちょうど実習期間に退院がぶつかっているかどうかもわかりません。「在宅での看取りがみたい」という要望も同様です。
けれども、医学生の要望が具体的であれば、何とか応えたいと思うのが、病院・診療所の実習担当者です。場合によっては、「そういう実習ができるような症例があったら、呼び出したいので携帯電話の番号を教えて欲しい」などという言葉を引き出すことができるかもしれません。こうなればしめたものです。あなたは、すでに「記憶」される医学生になっています。

4) 実習の前に担当の医師に会いに行こう
〜より具体的に伝える方法は、何といっても直接相談すること。これに限ります!〜
これまでのことは、実習期間の1週間以上前(できれば2週間ぐらい前)に相談しておくと、実習プログラムを組むことが可能となります。最初は、電話やメールでもいいですが、可能であれば、、実際に実習担当の医師に会いにいって相談するといいでしょう。医師は、医学生と話すことによって刺激を受けますし、具体的な要望がわかれば、患者さんと事前に相談しておくこともできます。
遠慮していては、実りのある実習を行うことはできません。そして、たいていの医師は、何の要望もなく実習したいという医学生よりも、具体的な要望を持って実習に臨む医学生を歓迎するはずです。

5) 最後に
さて、ここまで述べてきたことを参考に、まずは病院や診療所での実習を体験してみてください。その上で、あなたにとって「充実した実習になったのかどうか」教えて欲しいと思います。
ぜひ、掲示板やご意見メールを利用して、実習の感想や意見などお寄せください。

   

Copyright (C) 2003 Tokyo Miniren. All rights reserved.