医学サイト
東京民医連 HOME

戦争はなくせる。なくならないと思ったら何も変わらない。外側で起きていることのベクトルを内に向けて自分に問いかけてほしい

高遠菜穂子氏特別講演に医学生・看護学生が多数参加

写真90分に及ぶ講演のなかでも印象的にだったのが、米軍の目をかいくぐって高遠さんの手に託されたイラクの現状を伝える映像でした。写真や映像、MDやCD・DVDに至るまで米軍の目に触れるものなら容赦なく没収・破損させられてしまう状況にあるそうです。そうまでして、「外」に知られたくないことは何だったのか?現在、殆どのマスメディアが流すことの出来ないイラクの悲惨な現実がそこには記録されていました。

米軍は「武装組織が集まっている」という理由で、結婚式場に対して爆撃を行いました。そこには武装組織の姿はなく、結婚式に参列した50人近い方々の命が奪われました。腐敗した死体、爆撃ではなく生物兵器や化学兵器を使ったと思われる変色した異常な死体、今もなおイラクでは「武装集団」と称して多くの命が奪われています。

そして、高遠さんは今も現地の人々と協力してイラクでの学校建設の活動を続けています。子供達に教育の場を与えるだけでなく、現地の人たちに働く場を与えるという、二重の意義を持つ活動です。高遠さんは映像でも新しく建設された学校を紹介してくれましたが、「いまイラクでは、この学校が日本からの援助で作られたことを言えない状況がある」ことを指摘しました。米軍に協力している日本に対するイラク人の思いは非常に厳しいものになっています。そんな日本から何をされても喜ばれない状況になっています。

最後に高遠さんは会場の医学生・看護学生にメッセージとして「戦争はなくせる。なくならないと思ったら何も変わらない。外側で起きていることのベクトルを内に向けて自分に問いかけてほしい」強く言葉にしました。

写真後半の第二部では、「医療の現場からの発信」として分科会が行われました。『新潟中越地震における医療者の役割〜あなたは災害支援で何ができ、何を大切にしますか?〜医師・医学生からのメッセージ』と『私とハンセン病−医療政策のおかした罪−』の二つの分科会では、命と人権を考える場となりました。


   


Copyright (C) 2003 Tokyo Miniren. All rights reserved.