コロナ禍の困窮 深刻な実態あらわに

大切な「いのちの相談所」活動 東京民医連 各法人事業所から154事例の報告

※みんいれんTOKYOの一面記事の紹介

 

 

全日本民医連より提起された「コロナ禍を起因とした事例報告」(9月30日締切)

東京民医連各法人・事業所から154事例の報告がありました。男女比は1‥1、年代別では20代から50代の稼働年齢層が35%、60代以上の高齢者が65%でした〈表1〉。稼働年齢層の報告のほとんどは失業、収入減などで経済的に困窮した事例でした。
困窮に至った要因は〈表2〉のように分類されます。「その他」に分類される事例が半数近くになっています。「面会制限」などにより、患者家族とのコミュニケーション不足による療養に対する不満・不安や転院の遅れ、退院カンファが不十分のまま退院され、患者の状況が想像以上に大変だったことなどの報告です。
コロナ感染症の拡大で医療や介護の現場で普通にできていたことができない苦労やストレスを抱えていることがうかがわれます。
また、患者や利用者みずからが受診や介護サービスの利用を控え、症状の悪化やADLが低下する事例も多数報告されています。
経済的な困窮事例は56例でした。困窮に至る要因として、「事業収入の減少」や「就業収入の減少」など収入減少が44例、うち18例が失業しています。多くは飲食店などで働く非正規労働者と個人で飲食店や建築関係を営んでいる方で、コロナ禍前より「自立・自助・共助」の政治のもとですでに社会的支援が必要であったと考えられます。自分ではどうしようもなくなり、無料低額診療をしているところを頼ったり、「なんでも相談」に来た方たちです。
報告された事例は氷山の一角であり、コロナ禍の長期化で今後さらに増えることが予想されます。

 

 

〈事例1〉所持金1万円となり、全日本民医連に連絡した男性

 「40代男性。70代の母親と2人暮らし。スタジアムやイベント警備員をしていたがコロナ禍の自粛で職を失い、来院時の所持金は1万円。糖尿病で他院に通院していたが受診日に支払うお金がないと告げると断られる。全日本民医連のホームページで『無料低額診療』を知り、連絡して無料低額診療を実施しているクリニックを紹介。6月24日に受診され、無料低額診療を申請。自粛明けの7月には再就職することができた。」
 コロナ禍前は普通に暮らしていた家族も失業により一気に困窮に陥る場合もあります。貧弱な子育て支援や失業対策が困窮要因の背後にあります。

 

〈事例2〉夫の失業と保育園自粛で経済的困窮に陥った30代女性

 「30代女性。夫と子ども2人の4人暮らし。2017年より定期的に受診。今年5月に溶接工をしていた夫が失業、自身も保育園の自粛で働けない時期もあり、経済的に困窮。8月31日に『お金がなく、予約をキャンセルしたい』との電話を医事課職員が受け、『お金のことは気にせず、とりあえずは受診してください』と受診をすすめ、9月4日に受診。その際に生活の状況を聞き取り、無料低額診療を申請すること、市役所に生保申請の相談にいくことになった。」

 

〈事例3〉健友会の無料低額診療の相談

 健友会の中野共立病院、川島診療所、江古田沼袋診療所は無料低額診療を実施しており、20代から30代の非正規労働者の事例が複数例報告されています。
 「パチンコ店の自粛により路上生活。胸部痛あり福祉事務所より紹介され中野共立病院受診し、生活保護受給へ」「コロナ感染疑いで受診し、一部負担金が払えないと相談があり、事情を聴くと勤務した飲食店が休業し給料未払い、家賃支払いも困難になる。緊急小口融資や保険料減免制度、持続化給付金を紹介」「新宿居酒屋の店員。お店が2か月休業し、その間無収入。コロナ感染疑いで受診したが一部負担金が払えないと相談。家も友人とルームシェアしている。生保申請をすすめる」「ネットカフェで生活していたが休業により路上生活へ、気管支喘息があり、医療機関受診が必要と生活支援団体から紹介され受診。生活保護申請」

 経済的困窮事例の多くは無料低額診療を実施している事業所や「なんでも相談」からの報告です。今後も国民の困窮は続きます。民医連が提起する「いのちの相談所」活動がますます大切になります。

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